津雲むつみ

津雲 むつみ

日本の漫画家。本名は北川睦美（きたがわ むつみ）。1952年2月3日、石川県鳳珠郡能登町に生まれ、2017年3月4日に65歳で永眠しました。血液型はA型。

経歴と人物像

漫画家としてのキャリアは、1967年、15歳という若さでスタートしました。講談社の漫画誌『週刊少女フレンド』に掲載された『幸子の星』でデビューを果たし、初期の活動はこの雑誌を中心に行われました。

1970年代に入ると、活躍の場を集英社の『週刊セブンティーン』へと移し、同誌を代表する人気漫画家の一人として、多くの読者から支持を集めるようになります。キャリアの初期には、人間の内面に深く切り込むような、性意識や悲劇的なテーマを扱った短編作品を多く手掛け、その問題提起的な姿勢は注目されました。

しかし、1971年にはそれまでの作風とは異なる、より娯楽性の高い作品『おれは男だ!』を発表。これが森田健作主演でテレビドラマ化され、さらには映画化もされるという大ヒットを記録し、津雲むつみの名は一躍広く知られることとなりました。この作品は、その後の彼女の創作活動にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

1976年には、『彩りのころ』で第5回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。この作品も、1986年に『このこ誰の子?』というタイトルで大映テレビによりドラマ化され、多くの視聴者に届けられました。

1980年代後半からは、主な発表の場を集英社の漫画誌『YOU』へと移します。この時期には、『風の輪舞』、『花衣夢衣』、『聞かせてよ愛の言葉を』といった作品が生み出され、いずれも昼の帯ドラマとしてテレビ化され、人気を博しました。

1993年には、社会的な問題、特に幼女誘拐殺人事件という重いテーマを扱った『闇の果てから』により、二度目となる日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。これは、彼女が娯楽作品だけでなく、社会の抱える闇にも果敢に切り込んでいく、多角的な才能を持つ漫画家であることを証明しました。

2006年には、かつて昼ドラ化された『風の輪舞』が、『新・風のロンド』としてフジテレビ系列で再びドラマ化されるなど、過去の代表作も時代を超えて受け継がれていきました。

漫画家としての活動に加え、2010年5月22日には、自身の故郷である石川県能登町から「ふるさと大使」に任命され、地域の活性化にも貢献しました。

生涯にわたり精力的に創作活動を続けた津雲むつみでしたが、2017年3月4日、肺がんのため65歳でその生涯を閉じました。

多岐にわたるテーマとジャンルで、読者の心に深く響く数々の作品を生み出し続けた津雲むつみは、日本の漫画史において重要な足跡を残した作家の一人として、その功績は今後も語り継がれていくでしょう。

主な受賞歴

1976年：『彩りのころ』で第5回日本漫画家協会賞優秀賞
1993年：『闇の果てから』で第22回日本漫画家協会賞優秀賞

代表的な映像化作品

『おれは男だ!』: 1971年、日本テレビで放送（松竹制作）。本人もカメオ出演。1987年には映画化もされた。
『彩りのころ』: テレビドラマ化時のタイトルは『このこ誰の子?』（大映テレビ制作、フジテレビ系）。
『風の輪舞（ロンド）』: 『風のロンド』および『新・風のロンド』として、二度にわたり東海テレビ制作でドラマ化された。
『聞かせてよ愛の言葉を』: 大映テレビ制作、TBS系でドラマ化された。
『花衣夢衣』: 東海テレビ制作でドラマ化された。

主な作品リスト（一部抜粋）

おれは男だ!
彩りのころ
風と共に去りぬ（原作：マーガレット・ミッチェル）
赤い糸の伝説
ばらの騎士
闇の果てから
きょうの子守唄
白き船の恋歌
そして5年後
人魚姫 ファンタジーメンルヘン
ゆりかごの棘
隣の男
黒鳥の歌
緋の闇
風の季節
遥かなる海へ
フェードインLOVE
恋ひ恋ひて
蒼い家
冥き途より
瑠璃色幻花
春宵夢幻花
秋紅露幻花
ラピスラズリ・ダイヤモンド
花鬼
水のルージュ
椿散華
花の庭
ジャカランダ・ロード
石の迷路
Dark memory
ウェディング・イブ
Dear my Baby
前奏曲-VORSPIEL-
シングル・マザー
Moonlight Flowers 月下美人
いってしまった夏
オーロラの見える日
れんげ色の風
花衣夢衣
風の輪舞（ロンド）
真夜中の庭
人はそれを不倫と呼ぶ
不倫という名の恋をした
聞かせてよ愛の言葉を
空と海と蜃気楼と
暁の海を征け
緋の婚礼
座敷牢の女

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