浄光明寺 (鹿児島市)

浄光明寺について

浄光明寺（じょうこうみょうじ）は、鹿児島県鹿児島市上竜尾町に位置する時宗の寺院であり、その本山は清浄光寺（遊行寺）です。これとは異なり、鎌倉・扇ガ谷にある真言宗の同名の寺と直接の関係はありません。

沿革の概要

浄光明寺の歴史は、島津家初代の島津忠久が薩摩に入国した際に、鎌倉から来た僧侶、宣阿のために建立されたという記録がありますが、これは実際には本立寺に関するものであり、現在の寺院の位置は後に変更されたとも考えられています。1277年には、時の浄光明寺の三世住持である覚阿が一遍と呼ばれる僧に帰依し、これを機に時宗寺院としての道が開かれました。

島津家との関わり

1284年、島津家の三代目である島津久経が再建に関与し、それ以降この寺院は江戸時代までの間に大きな発展を遂げました。特にこの時期、浄光明寺は島津藩領内で最大級の境内面積を誇る大寺院として隆盛を極めたのです。しかし、幕末の薩英戦争の影響で、隣接する不断光院と共に英国艦隊の砲撃を受けることになり、境内は全焼してしまいました。

明治2年には廃仏毀釈により廃寺とされ、多くの損害を被りましたが、西南戦争後には戦死した西郷軍の墓所として活用され、焼損した本堂などの敷地が一部残りました。それでもかつての広大な境内の多くは失われてしまいました。明治16年になると、境内の一部である芳林庵の跡に再興が成され、浄光明寺は新たな一歩を踏み出しました。

江戸時代の宗教状況

浄光明寺が位置する島津藩領は、浄土真宗が禁止されていたため、時宗の教えは貴重な存在とされました。そのため、浄光明寺と本立寺の廃寺化は、島津地域における時宗の信仰が衰退する一因となったという視点もあります。また、大阪の天王寺にある仏智山円成院は、浄光明寺の隠居である寿門が天台宗の塔頭・薬師堂を取得して創建したもので、浄光明寺との繋がりが伺えます。

まとめ

浄光明寺は、鹿児島市においては貴重な寺院の一つであり、その歴史は島津家との密接な関わりの中で形成されてきました。江戸時代の繁栄から近代の激動を経た浄光明寺の存在は、鹿児島の歴史的な文化財として重要な地位を保っています。これからもその価値が認識され、多くの人々に受け継がれていくことでしょう。

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