上竜尾町

上竜尾町（かみたつおちょう）

鹿児島市の中央部に位置する上竜尾町は、旧薩摩国鹿児島郡に属し、城下町としての歴史を色濃く残しています。現在の人口は1,152人、世帯数は568世帯（2020年10月1日現在）で、全域で住居表示が実施されています。

地理

上竜尾町は、北に坂元町、南から西にかけて下竜尾町、西に西坂元町、東に大竜町と池之上町が隣接しています。町域の西端には鹿児島県道25号鹿児島蒲生線が通り、南端には南洲公園があります。南洲公園は、かつて浄光明寺があった丘陵地で、西郷隆盛を祀る南洲神社や西郷南洲顕彰館などの史跡があります。

公園内の台地からは縄文時代の遺跡が発見されており、古代から人々が生活していたことがわかります。

町名の由来

上竜尾町の名前の由来には二つの説があります。一つは、かつて存在した竜ヶ尾神社に由来するという説、もう一つは、現在の南洲神社付近が竜ヶ岡と呼ばれていたことに由来するという説です。

歴史

近世の上竜尾町

上竜尾町は、江戸時代から存在した地名で、鹿児島城下の一部でした。大竜寺馬場には、今和泉島津家の屋敷がありましたが、1967年に大竜町として分割されました。明治時代初期には、武士が多く住む武家町でした。

明治時代

1877年（明治10年）の西南戦争では、鹿児島県警察関係者が西郷軍に加わったため、政府は警視庁の出張所を上竜尾町に設置しました。西南戦争後、戦死した西郷隆盛や桐野利秋ら2023名が旧浄光明寺跡に埋葬されました。1879年（明治12年）には、旧浄光明寺跡に参拝所が設けられ、後に南洲神社となりました。

市制施行以後

1889年（明治22年）に鹿児島市が市制を施行した際、上竜尾町は鹿児島市の一部となりました。1945年（昭和20年）には、鹿児島大空襲により、上竜尾町を含む地域が甚大な被害を受けました。

1967年（昭和42年）には、住居表示の実施に伴い、上竜尾町の一部が再編され、大竜町が新設されました。1968年（昭和43年）には、上竜尾町の全域で住居表示が完了しました。

文化財

国登録有形文化財

南洲神社電燈 一対

南洲神社の参道にある電燈で、集成館によって製造されたものです。その優れた造形から、2006年（平成18年）に国登録有形文化財に登録されました。

県指定文化財

南洲墓地（史跡）
敬天愛人一幅（書跡）- 西郷南洲顕彰館所蔵

施設

公共施設

南洲公園
西郷南洲顕彰館

寺社

南洲神社
浄光明寺

教育

上竜尾町に在住する児童・生徒は、鹿児島市立の小学校・中学校に通学します。

交通

道路

鹿児島県道25号鹿児島蒲生線

鉄道

かつては鹿児島市電上町線が付近を通っていましたが、1985年に廃止されました。最寄りの駅は鹿児島駅です。

著名な出身人物

久保田尚志（化学者、大阪市立大学名誉教授、日本化学会名誉会員）
左近允孝之進（思想家・教育者、盲学校の創設、日本初の点字による新聞の創刊）


上竜尾町は、歴史と文化が豊かな地域であり、今後もその魅力を発信し続けていくでしょう。

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