浅利頼平

浅利頼平

浅利頼平（あさり よりひら）は、安土桃山時代の武士であり、出羽国比内郡を拠点とした国人、比内浅利氏の最後の当主です。

生涯

比内浅利氏は、甲斐源氏の流れを汲み、甲斐国八代郡浅利郷を発祥とする浅利氏の分流にあたります。頼平は、浅利勝頼の子として生まれました。天正10年（1582年）に父・勝頼が安東愛季によって暗殺された後、浅利氏は安東氏の支配下に入りました。

しかし、頼平は独立心が強く、浅利氏の再興を目指し、次第に安東氏からの離脱を計画するようになります。この動きを察知した安東実季は、文禄年間に豊臣秀吉の惣無事令（私的な戦いを禁じる命令）を無視し、比内浅利領に攻め込みました。

文禄5年（1596年）2月には、安東・浅利合戦に対する停戦命令が下され、同年4月には紛争の裁定が言い渡されました。その内容は、頼平の蟄居と、秋田安東氏の軍役指示に従うというものでしたが、この裁定によって紛争が完全に収束することはなく、中央政権内でも再び問題視されるようになります。

慶長元年（1596年）12月には、片桐且元が仲裁に入りましたが、翌慶長2年（1597年）9月にも秋田・浅利間の紛争は継続し、頼平は被害状況を報告しています。この紛争を巡り、豊臣政権内では、秋田安東氏を佐々行政が支持し、長束正家・木村重茲がこれを支持。一方、浅利方は浅野長吉が中心となり、前田利家や徳川家康が暗に支援するという状況になり、停戦へと向かう流れとなりました。

紛争解決が膠着状態に陥る中、慶長3年（1598年）1月、陳情のために上洛した頼平は、突如として急死しました。当主を失った比内浅利氏は事実上瓦解し、その勢力を失うことになります。頼平の死については、秋田安東氏による毒殺説も流れました。慶長4年（1599年）3月、実季は阿部正勝に対し弁明書を提出し、天正18年から文禄5年までの浅利氏による物成（年貢）の未納があったことが紛争の原因であり、未解決のまま頼平が死去したと報告しました。

頼平の死後、比内浅利氏は歴史の表舞台から姿を消し、その領地は秋田氏によって支配されることとなりました。しかし、頼平の独立への強い意志と、中央政権をも巻き込んだ秋田氏との紛争は、戦国時代の終焉期の地方勢力の複雑な関係を示す出来事として、歴史に名を残しています。

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