浜ノ町 (高松市)

浜ノ町（はまのちょう）は、香川県高松市中心部の北端に位置する町です。郵便番号は760-0011で、町域全体で住居表示が実施されています。

地理的には、高松市役所から約1.1kmの距離にあり、高松市の中心市街地が直接海に面する貴重なエリアです。北側は瀬戸内海、南側はJR予讃線に挟まれ、東はサンポート高松、西は高松漁港に接しており、全体として東西に細長い特徴的な形状をしています。

町域はその特性によっていくつかの顔を持っています。東側はJR高松駅が立地する高松市の玄関口であり、サンポート高松の再開発エリアの一部として整備されています。ここにはJRホテルクレメント高松など、高松市のシンボルとなるような近代的な施設が立ち並び、洗練された都市景観を形成しています。

東部から中部にかけての地域は、高松駅の背後に位置し、都心へのアクセスが良いことに加え、瀬戸内海が間近という恵まれた住環境を兼ね備えています。この利便性の高さから、戦後比較的早期から都心近接型の住宅地として開発が進み、現在では高松市内でも有数の大規模マンションが林立するエリアとなっています。また、この中部には、夏季に多くの人で賑わう大的場海水浴場や高松ヨットハーバーといったレジャー施設も存在します。

一方、町の西側は東部・中部とは異なる趣を見せています。労住協が中心となって開発された戸建ての住宅団地が広がり、高松漁港に面していることから、より落ち着いた港町の性格が色濃く感じられる地域です。

2010年の国勢調査によると、浜ノ町の人口は4305人（男性2103人、女性2202人）、世帯数は2034世帯でした。面積は約46.3万平方メートル、人口密度は約9295.7人/km²となり、高松市の中心部では最も人口が多い地域となっています。町内全域が新番丁小学校および紫雲中学校の校区に属しています。

都市計画法に基づく用途地域としては、JRホテルクレメント高松や高松駅周辺、主要な通り沿いの一部などが商業地域に指定され、高い容積率が認められています。JRの線路敷やそれに面する一部の街区は準工業地域、その他の大部分は第二種住居地域となっており、地域の特性に応じた土地利用が図られています。

港湾としては、町の西端に高松漁港が位置し、沿岸漁業の拠点の一つとなっています。

「浜ノ町」という町名の由来は、かつて現在の錦町の一部に存在した「浜ノ丁」に遡ります。この旧浜ノ丁は、文字通り高松城の西側の外堀に面し、海が近かったことからその名が付いたとされています。現在の浜ノ町は、1966年（昭和41年）に旧浜ノ丁の大部分と新湊町の一部を統合して新設されたもので、町域全体が明治時代以降に埋め立てられた土地によって形成されています。

旧浜ノ丁は現在の浜ノ町よりも内陸に位置しており、江戸時代には高松城の西側に広がる武家屋敷地の一部でした。埋め立てが進むにつれて海岸線が北へ移動し、現在の浜ノ町が形成されていきました。現在の町内にある「大的場」と呼ばれる場所も、かつては現在より内陸にあった海岸線の一部でした。

浜ノ町が新設された1960年代後半はまだ人口が少ない地域でしたが（1970年時点で401人）、高度経済成長期の末期にあたるその後の5年間で、大規模マンションの建設が相次ぎ、人口が急激に増加しました（1975年には2505人）。この人口増加はその後も続き、1970年代後半には香川県健康増進センター（後の大的場健康体育センター）や高松市立市民プール（2021年度で廃止）といった公共のレクリエーション施設もオープンしました。

2003年（平成15年）4月1日には、サンポート高松の再開発事業に伴い、町域の一部がサンポート、西の丸町、錦町へ編入される一方、寿町、西の丸町、錦町の一部が浜ノ町に組み入れられるという区画変更が行われました。この変更により、新たな町名「サンポート」が誕生し、浜ノ町の西側大部分がこれに属することになりましたが、サンポート高松再開発地区の中心である高松駅周辺は引き続き浜ノ町に留まっています。

町内には、前述の主要施設のほかにも、四国旅客鉄道（JR四国）本社、四国労働金庫本店、高松出入国在留管理局審査部門、各種商業施設（例: マルナカサンポート店）、多数のマンション群、公園（例: 高松市立大的場公園）、蓮華寺など、多様な施設が集積しています。これらの施設が、交通の結節点であり、居住地、商業・業務地、そしてレジャーエリアとしての浜ノ町の多面的な機能を支えています。

高松市の発展と共に変化を遂げてきた浜ノ町は、近代的な都市機能と海に近い住環境、そして歴史的な背景が共存する、高松市中心部において特別な存在感を放つ地域と言えるでしょう。

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