浜田久美子

浜田 久美子

日本の歴史学者、図書館情報学者。

人物と経歴

1972年、奈良県に生まれる。古都の歴史に触れる環境で育ち、歴史への関心を深めた。早稲田大学第一文学部に入学し、日本史学を専攻。1995年に同学部を卒業後、知識の集積と活用の中心機関である国立国会図書館に司書として奉職した。国立国会図書館での勤務は、多岐にわたる資料群に触れる機会を与え、その後の研究活動、特に歴史研究における資料の重要性や利用法に関する関心を高める基盤となった。

国立国会図書館での実務経験を積みながら、学術研究も並行して行い、法政大学大学院人文科学研究科の博士後期課程に進学。日本古代史、特に外交史・制度史の研究を深めた。2009年に同課程を修了し、博士（文学）の学位を取得した。長年の国立国会図書館での勤務と並行した研究活動を経て、2019年4月より大東文化大学文学部教育学科の教授に就任し、現在に至る。

研究分野

浜田久美子教授の専門分野は、日本古代史と図書館情報学である。古代史研究では、奈良時代から平安時代にかけての日本と東アジア諸国（特に渤海）との関係史、外交儀礼、および関連する制度史を中心に研究を進めている。当時の日本が国際社会においてどのような立ち位置にあり、いかにして対外関係を構築・維持していたのかを、緻密な史料分析に基づいて解明しようとしている。

図書館情報学においては、歴史学の研究に不可欠な様々な情報資源、例えば歴史辞典、史料集、学術データベースなどの利用法や、それらが研究プロセスに与える影響について探求している。国立国会図書館での実務経験から得た、資料の網羅性、検索性、アクセシビリティに関する深い知見は、歴史研究における情報活用の効率と精度を高める上で重要な示唆を与えている。歴史学と図書館情報学という二つの専門分野を融合させることで、資料学的視点を取り入れた実証的な古代史研究を展開している点が、その研究の特色と言える。

主な著作

浜田久美子教授は、その専門分野において複数の学術的な著作を発表している。

単著

『日本古代の外交儀礼と渤海』（同成社、2011年、ISBN 9784886215512）
法政大学大学院での研究成果が基になったと見られる著作。古代日本と渤海との間に交わされた外交における儀礼や制度に焦点を当て、当時の国際関係における儀式の持つ政治的・文化的な意味合いを詳細に分析している。

『日本史を学ぶための図書館活用術 辞典・史料・データベース』（吉川弘文館、2020年、ISBN 9784642083706）
歴史学を専攻する学生や研究者向けに、歴史研究を行う上で必要となる様々な情報源をどのように探し、どのように活用すれば良いのかを具体的に解説した実践的なガイドブック。長年の国立国会図書館での経験が活かされている。

『日本古代の外交と礼制』（吉川弘文館、ISBN 9784642046664）
古代日本の外交制度や儀礼に関するさらなる考察を深めた著作。対外関係を律する上で、礼儀や制度がいかに重要な役割を果たしていたのかを探求している。

編著

『訳註 日本古代の外交文書 』（鈴木靖民、金子修一、石見清裕、浜田久美子 共編、八木書店、2014年）
古代日本が他国と交わした重要な外交文書を選び、読みやすい訳と丁寧な注釈を付した書籍。古代史研究の基礎となる文献の理解を助ける貴重な成果である。

* 『石井正敏著作集1 古代の日本列島と東アジア』（鈴木靖民、赤羽目匡由、浜田久美子 共編、勉誠出版、2017年）
著名な古代史家である石井正敏氏の著作を集成する事業に携わったもの。石井氏の長年の研究成果をまとめ、古代東アジア世界における日本列島の研究に寄与している。

これらの著作活動を通じて、浜田久美子教授は、日本古代史研究、特に外交史・制度史の分野、そして歴史研究における資料論や情報活用に関する分野において、重要な貢献を行っている。

その研究活動の一端は、researchmapやJ-GLOBAL、CiNiiといった学術情報データベースからも確認することができる。また、現在所属する大東文化大学の研究者情報ページでも、詳しいプロフィールや活動状況が公開されている。

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