浦間茶臼山古墳

浦間茶臼山古墳

浦間茶臼山古墳（うらまちゃうすやまこふん）は、岡山県岡山市東区浦間に位置する古墳であり、その形状は前方後円墳です。この古墳は国の史跡に指定されています。

概要

古墳は古墳時代前期にあたる3世紀末に築かれたと考えられ、古代吉備において最も古い大型前方後円墳の一つとして位置付けられています。全長は約138メートルあり、前方部は約61メートル、後円部の直径は約81メートル、高さは約13.8メートルです。また、前方部は現在畑として開墾されており、桜の木が植えられて公園として整備されています。後円部は竹藪に覆われ、北側には墓地があります。周囲には住宅団地が広がっており、古墳は本来の姿を著しく損なっています。前方部が北東を向いていることや、頂部が後円部より約4メートル低いことから、古墳の変形具合がうかがえます。

浦間茶臼山古墳は、前方後円墳の中でも最も古い形式とされ、外観は奈良県桜井市にある箸墓古墳と酷似しているとも言われています。後円部には三段の構造が確認されており、その頂部は平坦です。頂上には乱掘による凹みが見られ、前方部は開墾の影響で段数が不明となっています。墳丘の敷石には角礫が使われ、都月型円筒埴輪の破片も確認されております。

1988年には近藤義郎氏を団長として発掘調査が行われ、後円部の乱掘坑の深部から、井戸型石室が発見されました。この石室は、長さが約7メートル、幅が約1.2メートルの竪穴式で、安山岩で組まれています。その石材は香川県北部または備讃瀬戸の島から運ばれた可能性があります。石室は上部が損傷していますが、床には赤色顔料を含んだ粘土が敷かれ、その上に割竹形木棺が納められていたと考えられています。

明治時代には盗掘が行われ、貴重な副葬品が持ち去られてしまったため、出土した物品は限られています。ただし、細線式獣帯鏡片、銅の矢尻、鉄の武器や農具、漁具などが見つかりました。これらは当時の墓の持主の社会的地位や生活必需品を示唆する遺物です。

また、前方部の南東側には陪塚と推測される円墳が存在していましたが、宅地造成のために破壊されてしまいました。このような背景を持つ浦間茶臼山古墳は、奈良県桜井市の箸墓古墳、京都府木津川市の椿井大塚山古墳、奈良県天理市の黒塚古墳と共に、古墳の早期出現期に属する重要な遺跡とされています。

依然として研究の余地が多く、古代吉備の歴史を探る上で重要なヒントを提供している浦間茶臼山古墳は、歴史愛好者や考古学者にとって貴重な研究対象となっています。

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