浪士組

浪士組の歴史

浪士組（ろうしぐみ）は、文久3年（1863年）2月に江戸幕府の将軍・徳川家茂が上洛する際、その警護を目的に設立された組織です。ある説では、この組織は幕府が江戸にいる過激な尊皇攘夷の浪士たちを巧妙に排除するための策でもあったとされています。浪士組は後の新選組や新徴組の前身となりました。

結成の背景

浪士組の結成は、尊皇攘夷の推進者である清河八郎の提案に端を発します。この組織への参加条件は、過去に犯した罪を免除するという大赦のもと、武道や学問に優れた者を重用するという急務三策が設けられました。これにより、身分や年齢に関係なく、腕に自信のある者なら誰でも参加できる可能性が生まれ、当時としては革新的な試みでした。

最初の浪士取締役には、松平忠敏（上総介）、中条景昭、窪田鎮勝、山岡鉄太郎などが任命されたものの、募集した参加者が予想を超えて増加したため、松平上総介は早々に取締役を辞任します。新たに鵜殿鳩翁が後任となり、即日中に参加者を召集し、諸注意や道中の編成について発表を行いました。

上洛のプロセス

浪士組は文久3年2月8日に江戸を出発し、中山道を通って上洛しました。途中で年配者や体力に自信のない者は駕籠や馬を利用することが許されました。宿泊先の本庄宿では、近藤勇が担当していた宿割の失敗から、芹沢鴨が激怒し、路上で篝火を焚く騒ぎを起こす場面もありましたが、近藤の謝罪により事なきを得ました。

上洛の経路としては、松井田宿、長久保宿、下諏訪宿などを経て、最終的には2月23日に京都の壬生村に到着しました。ここでは、浪士組はそれぞれの隊ごとに会所や寺、地元の郷士宅などに分宿しました。近藤勇はこの時、6番隊の小頭の役割を担っていました。

壬生村での活動

壬生村に到着した後の2日間、清河八郎は浪士組全員の署名が入った建白書を朝廷に提出しました。これは浪士組を幕府から独立した組織として急進的な尊皇活動に利用しようという意図がありました。しかし、その後の活動は困難を極め、特に新徳寺での騒動は組織内の緊張を引き起こしました。清河八郎は江戸へ帰還し、攘夷を強く主張したため、近藤勇や芹沢鴨らが反発しました。

3月には帰還命令が出されたが、延滞が続きました。結局、清河八郎らは出立し、京都守護職に属していた近藤たちが「壬生浪士組」という名で残ることになりました。この組織は後に新選組へと発展することになります。

組織の消滅

浪士組が江戸に戻った後、清河八郎は麻布で暗殺され、彼に協力した同志たちも次々と捕縛されました。これにより浪士組は組織の目的を失い、幕府は残ったメンバーを「新徴組」と名付けました。一方、京都に残っていた「壬生浪士組」は、八月十八日の政変後に「新選組」として知られることとなり、ここに浪士組の名は消えることになります。

このように浪士組は、幕末の動乱の中で短い間ではありましたが、重要な役割を果たしました。当時の社会情勢の中で、彼らの存在は歴史に刻まれることとなります。

もう一度検索