浪速型防護巡洋艦

浪速型防護巡洋艦

概要

浪速型防護巡洋艦は、日本海軍の艦艇の一種として、1883年の艦艇拡張計画に基づきイギリスで設計・建造されました。この艦は、ウィリアム・ホワイトの設計によってアームストロング社の造船所で建造されることとなり、当時世界で初の防護巡洋艦である「エスメラルダ」の優れた性能を受けて日本海軍が発注した防護巡洋艦の一号です。新しい設計では、従来の「エスメラルダ」の仕様を改良し、例えば防御甲板の厚さが増すなど強化されています。

浪速型艦は、主砲に準戦艦級の口径であるクルップ社製の26cm砲を2基装備し、強力な火力を備えていました。これにより、戦闘時の性能は大幅に向上していました。

艦形

本型艦の外形は、乾舷が高く、平甲板型の船体で、艦首には衝角が設けられています。艦首甲板上には露砲塔に収められた26cm砲が搭載され、その後方には見張り所を持つミリタリー・マストが立っています。また、艦橋後部には煙突が設置され、ミリタリーマストの上段には見張り台があり、その上には速射砲も配置されています。

当時の列強国の大型艦と同様に、浪速型艦の設計においても水雷艇からの攻撃を防ぐための工夫がなされており、主砲や副砲が多角的に配置されています。舷側甲板には6基の副砲（15cm砲）が整然と配置され、艦の防御力と攻撃力を高めていました。

火力の変遷

浪速型艦の初期装備のクルップ式主砲や副砲は、日清戦争や日露戦争を経て安式の15.2cm速射砲へと更新されました。この改装は、1895年から1898年にかけての副砲から始まり、1900年から1902年には主砲の換装が行われました。こうした改装によって、両艦はより現代的な火力を持つに至り、戦闘能力が向上しました。

航海と戦歴

浪速型の1番艦「浪速」は1886年に竣工し、日本人乗員による初の日本回航を果たしました。続いて同年に竣工した2番艦「高千穂」は、両艦ともに様々な歴史的な局面に寄与します。1893年からのハワイ革命に際し日系人保護のためにホノルルに派遣され、また日清戦争や日露戦争にも参加し、数々の海戦を戦い抜きました。

「浪速」は1912年に座礁事故により失われ、「高千穂」は同年に海防艦籍に編入されました。第一次世界大戦では青島攻略戦にも参加し、戦後にはドイツ水雷艇の攻撃によって沈没する運命を迎えます。

同型艦

• - 浪速
• - 高千穂

参考文献

• - 海軍歴史保存会『日本海軍史 第7巻』（第一法規出版、1995年）
• - 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第5巻 重巡I』（光人社、1989年、ISBN 4-7698-0455-5）
• - 福井静夫『福井静夫著作集第4巻 日本巡洋艦物語』（光人社、1992年、ISBN 4-7698-0610-8）
• - 世界の艦船増刊第32集 日本巡洋艦史（海人社）

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