浮固

浮固（うきがため）

浮固は、柔道、ブラジリアン柔術、総合格闘技などで用いられる寝技、固技における抑え込み技の一種です。講道館や国際柔道連盟（IJF）で正式名として採用されています。

バリエーション

浮固にはいくつかのバリエーションが存在します。

エッキー固

エッキー固は、ロサンゼルスオリンピック柔道60kg級銅メダリストであるイギリスのニール・エカーズリーが発案したとされる浮固の基本形です。

右技の場合、取り手は受け手の右側に位置し、左腕と胸で受け手の右腕を抱えて挟み込みます。左脚を伸ばして受け手の首を跨ぎ、頭が受け手の下半身に向くようにします。受け手の右腕を挟み込んだまま、上体で受け手の胴に覆いかぶさり、右腕を大きく回して受け手の下半身を取りに行きます。この時、相手の臀部を抱え込み、帯を掴みます。右足で相手の左腕をロックし、抑え込みに入ります。柔道では腕挫十字固をオプションとしたダブルアタック（王手飛車取り）の形となります。別名イングリッシュ・ホールドダウン、ブラジリアン柔術ではS字マウントとも呼ばれます。

ニーオンベリー

ニーオンベリーは、第二次世界大戦頃までに柔道界にも存在した浮固の一種です。

右技の場合、受け手の右側に立ちながら身を屈め、右手で受け手の左上袖を取り、左手で受け手の右上袖を取ります。右足は受け手のすぐ右脇のそばに置き、両手と右脚を用いて、受け手を起こさないようにします。

柔道家の川石酒造之助は、第二次世界大戦後の書籍で、右手で受け手の左襟を取り、左手で受け手の右上袖を取り、右膝を受け手の胸または右脇腹に乗せる形を紹介しています。この形はブラジリアン柔術でもニーオンベリーとしてポイントが得られます。1905年の第一回一高対東京高商戦で関孝治（東京高商）が大浦寿清（一高）に対し試みましたが、決まりませんでした。

ブラジリアン柔術では、右膝または右脛で相手の腹、脇腹、または胸を抑え、左足は床につき、左膝を床につけない状態を3秒間維持すると2ポイントが得られます。基本的な形では両手は片襟片袖です。胃のあたりに力を入れると効果的とされます。別名ニー・オン・ザ・ベリー、ニー・イン・ベリー、ニー・オン・ストマック、膝固（ひざがため）とも呼ばれます。ただし、IJFの膝固とは異なる技です。

分類と名称

1985年制定の講道館柔道の技名称固技では、浮固は抑え込み技とされていませんでした。しかし、1995年9月の国際柔道連盟（IJF）総会でのIJF技名称制定で、エッキー固が浮固として認定されました。当時、講道館機関誌『柔道』は、同時に認められた裏固については講道館柔道審判規定で抑え込みと認められないと明記しましたが、エッキー固については記載しませんでした。1998年7月号で、エッキー固も講道館柔道審判規定では抑え込み技と認められなかったことが記載されました。その後、多様化する技術への対応のため、講道館技研究部で技名称の再検討が行われ、2017年に浮固が正式に認められることになりました。

外部リンク

* 浮固 / Uki-gatame - YouTube KODOKANチャンネル

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