海にむかう母/ひとり旅〜リンゴ追分〜入り

「海にむかう母／ひとり旅〜リンゴ追分〜入り」は、昭和を代表する歌手、美空ひばりが1977年11月1日に日本コロムビアから発表したシングルです。このシングルは、A面に「海にむかう母」、B面に「ひとり旅〜リンゴ追分〜入り」という構成で、それぞれ異なる魅力を持つ楽曲が収録されています。

海にむかう母

A面の「海にむかう母」は、ひばりの実弟であるかとう哲也が「いずみ進」名義で作曲を手掛けた作品です。この曲は、1982年7月29日にフジテレビ系列で放送された音楽番組『ミュージックフェア』で、前年に亡くなったひばりの母、加藤喜美枝を偲んで歌唱されました。ひばりの実弟が作曲したという背景もあり、母への深い愛情と追悼の想いが込められた一曲と言えるでしょう。

また、ひばりのコンサートやライブでは、末弟の香山武彦によるセリフ入りのバージョンで披露されることもありました。このセリフ入りの演出は、楽曲に更なる感情移入を促し、聴衆の心を強く揺さぶりました。ひばりの養子であり、現在はひばりプロダクションの社長を務める加藤和也も、この曲をひばりの好きな曲の一つに挙げており、家族にとっても特別な楽曲であることが伺えます。作詞は杉紀彦、編曲は丸山雅仁が担当しています。

ひとり旅〜リンゴ追分〜入り

一方、B面の「ひとり旅〜リンゴ追分〜入り」は、元々は佐良直美が歌っていた「ひとり旅」という楽曲に、ひばりの代表曲である「リンゴ追分」の一部を挿入したものです。この大胆なアレンジは、楽曲に新たな魅力を与え、聴く者を惹きつけます。この曲は、ひばり自身も晩年に歌唱する機会が多く、特に1988年7月29日の広島平和音楽祭、そして1989年2月7日に福岡県北九州市の九州厚生年金会館で行われた生涯最後のコンサートでも披露されました。これらのコンサートで披露されたことは、ひばりにとっても思い入れのある楽曲だったことを示しています。

「ひとり旅」の作詞は吉田旺、作曲は浜圭介、編曲は佐々永治が担当しており、「リンゴ追分」部分は作詞を小沢不二夫、作曲を米山正夫、編曲を佐々永治がそれぞれ手がけています。複数のクリエイターの才能が融合したこの楽曲は、ひばりの歌唱力と相まって、聴く者に深い感動を与えます。

このシングルは、ひばりの幅広い表現力と、時代を超えて愛される楽曲の魅力を改めて感じさせてくれます。A面、B面ともに、ひばりの人生や家族への想いが込められた、聴きごたえのある一枚と言えるでしょう。

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