海上無線通信士

海上無線通信士（Maritime Radio Operator）について

海上無線通信士は、無線通信に従事するための資格であり、主に海上での通信を担当する専門職です。この資格は、日本の電波法第40条に基づいており、国際電気通信連合憲章に従って規定されています。

資格の種類

海上無線通信士は、以下の4つの級に分類されます。

1. 第一級海上無線通信士（一海通）
2. 第二級海上無線通信士（二海通）
3. 第三級海上無線通信士（三海通）
4. 第四級海上無線通信士（四海通）

これらの資格は一般に「海通」と総称され、従前は電話級無線通信士が四海通として扱われていました。各級は国際無線通信規則に基づき、通信の技術的な操作のレベルに応じて設定されています。

操作範囲

それぞれの級により操作できる範囲が異なりますが、以下はオペレーションについての概要です。

• - 一海通は、GMDSS（Global Maritime Distress and Safety System）に対応した大規模海岸局や船舶局での保守作業が可能です。
• - 二海通は、中規模の海岸局や船舶局での制限された範囲での保守作業を担当できます。
• - 三海通は、GMDSSに対応した小規模海岸局や船舶局に関わりますが、保守作業は行いません。
• - 四海通は、国際通信に関与せず、主に小規模な漁業用の通信を担当します。近日の規定変更により、四海通も船舶地球局の操作が許可されるようになりました。

取得方法

資格の取得方法は主に二つで、国家試験に合格するか、指定の養成課程を修了することです。国家試験は年に数回行われ、無線工学や法律、英語、電気通信術など多岐にわたる科目が含まれます。特に一海通は通信の実践や機器の取り扱いを重視した内容となっています。

受験料

2020年以降、各級の試験には別々の受験料が設定されています。例えば、一海通は17,400円、二海通は15,300円、三海通は9,600円、四海通は7,400円です。受験票はオンラインで発行されるようになっています。

変遷と歴史

海上無線通信士の資格は1989年に法改正が行われ、取り扱いが始まりました。その後、1991年に各級の操作範囲が規定され、1996年には一・二海通の予備試験が廃止されるなど、資格制度は段階的に整理されてきました。最近の制度変更では、四海通の操作範囲が拡大され、船舶地球局の操作が認められました。

結論

海上無線通信士という資格は、海上での安全な通信を支える重要な役割を果たしており、各級別に対応する技術や業務範囲が設定されています。国家試験や養成課程を経て、この資格を取得し、海上通信の専門家として活躍する道が開かれています。

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