船舶局

船舶局について

船舶局とは、船舶に設置される無線局の一種であり、移動局に分類されます。電波法によって規定されており、船舶と陸上との通信や船舶間の通信を担う重要な役割を果たしています。無線は、海上における重要な通信手段であるため、一定規模以上の船舶には義務船舶局として無線設備の設置が義務付けられています。

船舶局の定義

電波法では、船舶局を「船舶の無線局のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外のもの」と定義しています。これは、遭難自動通報局やレーダーのみを搭載した無線局とは区別されることを意味します。

種別

船舶局は、その無線設備の構成や船舶の用途によって、いくつかの種類に分類されます。

義務船舶局: 船舶安全法で設置が義務付けられている船舶の無線局。
特定船舶局: 国際航海に従事しない小型船舶に設置される無線局で、無線電話、遭難自動通報設備、レーダーなどの小規模な設備のみを搭載する。

これらの他に、船舶に開設される無線局としては、無線航行移動局、遭難自動通報局、船舶地球局、船上通信局、無線標定移動局などがあります。

船舶局の役割と重要性

船舶における無線通信は、陸上との唯一の通信手段であり、船舶の安全航行や緊急時の連絡に不可欠です。特に義務船舶局は、一定規模以上の船舶に設置が義務付けられており、船舶の安全確保に重要な役割を果たしています。

特定船舶局は、義務船舶局の対象外となる小規模船舶において、必要に応じて無線設備を設置するために規定されたものです。これらは、主に漁業やレジャー目的の船舶で利用されています。

免許について

船舶局の開設には、原則として無線局の免許が必要です。ただし、電波法には例外規定があり、外国人や外国の会社・団体でも船舶局を開設できる場合があります。具体的には、電気通信業務以外の目的で船舶に開設される無線局については、外国籍の者でも免許を取得することが可能です。

船舶局の免許の有効期間は、義務船舶局が無期限であるのに対し、それ以外の船舶局は5年となっています。

船舶局の無線設備

船舶局に搭載される無線設備は、電波法施行規則によって細かく規定されています。デジタル選択呼出装置、無線電話、狭帯域直接印刷電信装置、船舶自動識別装置などがその例です。また、電波法では、船舶に備え付けるべきレーダーや救命用無線設備の機器については、検定合格機器でなければならないとしています。

特定船舶局においては、無線設備が検定合格機器または適合表示無線設備のみであれば、簡易な免許手続きが適用され、予備免許や落成検査が省略されます。

無線局の運用

船舶局の運用は、原則として船舶の航行中に行う必要があります。これは、航行中の船舶が常に外部との通信手段を確保しておくための規定です。

遭難通信や緊急通信、安全通信の通信操作は、無線従事者の資格を持つ者が行う必要があります。ただし、簡易な操作や特定の無線設備については、無線従事者の資格がなくても操作が可能です。具体的には、遭難自動通報設備、簡易型船舶自動識別装置、一部のレーダーなどが該当します。

船舶局の検査

船舶局は、定期的に検査を受ける必要があります。検査の周期は、船舶の種類や無線設備の構成によって異なり、義務船舶局や国際航海に従事する船舶は1年ごとの検査が必要です。一方、特定船舶局の一部は5年ごとの検査で済む場合があります。また、登録検査等事業者による検査も可能で、その結果に基づいて一部検査が省略されることがあります。

歴史

船舶局の歴史は古く、1950年の電波法制定当初から船舶無線電信局や船舶無線電話局として規定されていました。その後、時代の変化や技術の進歩に合わせて、制度や規定が改正されてきました。特に近年では、特定船舶局の規定や外国籍の者の免許取得に関する緩和措置などが導入されています。

まとめ

船舶局は、海上における安全と効率的な通信を支える重要なインフラです。その種類や役割、免許手続き、運用方法など、多くの側面から理解しておくことが、安全な航海のためには不可欠です。

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