無線通信士

無線通信士とは

無線通信士とは、無線局の無線設備の通信操作を行う専門家です。日本では、総合無線[[通信士]]、海上無線[[通信士]]、航空無線[[通信士]]を総称する通称として用いられてきました。電波を利用した通信には専門的な知識と技能が求められるため、多くの国で公的資格が必要とされています。

概要

無線通信は電波を利用するため、一定の技能が必須です。国際的には、公海上を航行する船舶や航空機に搭乗する通信士には、国際電気通信連合憲章で定められた無線通信規則に基づく無線通信士証明書が求められます。日本では、総務大臣が無線従事者免許証を交付し、これが無線通信士証明書としても機能します。

1989年の電波法改正により、無線従事者資格は利用分野別に再編され、総合無線[[通信士]]、海上無線[[通信士]]、航空無線[[通信士]]の3種類に大別されました。これにより、「無線通信士」という名称は通称となり、各分野の専門資格が設けられました。なお、第一級海上特殊無線技士の免許は、制限無線通信士証明書とされました。

この記事では、主にこの改正以前の「無線通信士」について解説します。

日本における歴史

電信法時代

日本で最初の無線に関する法律は、1900年に施行された電信法です。この法律では、無線電信は政府が管掌し、私設（民間企業や個人による開設）は禁止されていました。そのため、民間商船には逓信省の官設船舶局が設置され、逓信省の通信官吏が乗船して勤務していました。

1907年、逓信省が無線電信局の開設希望者を募集した際、金沢通信伝習所主任教官の米村嘉一郎が、1908年に東洋汽船の天洋丸に設置された船舶局に着任し、日本初の無線通信士とされています。

1914年には、SOLAS条約により、一定規模以上の船舶への無線設備設置が義務化されました。これに伴い、逓信省は私設無線施設の開設を認める方向で法改正を検討しました。

無線電信法時代

1915年、無線電信法が制定され、政府が無線を管掌するという原則を維持しつつ、例外として私設無線施設の開設が認められました。これにより、民間企業が無線局を開設・保守し、その運用を担う私設無線電信従事者の資格が設けられました。

電波法時代

1950年に電波法が制定され、官公庁・民間を問わず無線局の無線設備操作には無線従事者が必要となりました。無線通信士は、電波法に定める無線従事者の一種として位置づけられました。この法律では、資格名称が条文に明記されました。

この後、資格は総合無線[[通信士]]、海上無線[[通信士]]、航空無線[[通信士]]へと再編されていきます。

無線通信士の取得者数と制度の変遷

無線通信士の資格取得は、無線電信法時代から国家試験が原則でしたが、認定学校の卒業生や特定の実務経験者は、銓衡検定により無試験で資格を取得できる制度がありました。電波法下では、国家試験が唯一の取得方法でしたが、後に学校卒業や資格・業務経歴による科目免除や認定講習課程による上級資格取得も可能になりました。

電気通信術

電気通信術は、無線従事者国家試験及び免許規則で規定されていました。

科目免除

他資格の所持者に対する科目免除も、無線従事者規則で規定されていました。しかし、資格再編後は、アマチュア無線技士と無線通信士間の科目免除は規定されていません。また、琉球政府の旧資格所持者に対する科目免除も、再編後の資格に合わせて変更されました。

英語

1986年からは、試験に辞書の持ち込みが認められていましたが、資格再編後は認められなくなりました。

経過措置

無線通信士の免許証は、書換えの必要はありませんでした。また、施行日以降でも、国家試験合格から3ヶ月以内に免許申請すれば、従前の無線通信士として免許されました。1993年4月までは、航空級無線通信士以外の無線通信士は、上級無線従事者の指揮下で操作ができました。

第三級無線通信士、電話級無線通信士および航空級無線通信士は、従前の操作範囲内での操作や、電波法に反しない範囲で操作の監督ができました。

操作範囲

電話級・航空級無線通信士は、空中線電力の制限はあるものの、陸上移動業務や携帯移動業務の無線局などの操作が可能でした。しかし、第四級海上・航空無線[[通信士]]には、これらの操作は認められていませんでした。

第三級総合無線[[通信士]]の操作範囲は、後に拡大されました。

制限無線通信士

第一級海上特殊無線技士は、制限無線通信士として扱われました。また、以前の特殊無線技士（国際無線電話）も第一級海上特殊無線技士とみなされました。

1955年から1971年の間に発行された一部の特殊無線技士の免許証には、無線電話通信士制限証明書に該当することが記載されていました。これらの資格は、再編後に第二級海上特殊無線技士および第二級陸上特殊無線技士とみなされました。

諸外国

各国の無線通信士制度については、ここでは割愛します。

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