電気通信術

電気通信術とは

電気通信術は、無線従事者国家試験における重要な科目の一つであり、無線通信士、海上[[特殊無線技士]]、航空特殊無線技士、国内電信級陸上特殊無線技士などの資格取得に必要です。この試験では、無線通信を行うための実践的な能力、特にモールス符号、直接印刷電信、電話を用いた通信技術が評価されます。

試験の種類と内容

電気通信術の試験は、主に以下の3つの種類に分かれています。

モールス電信

モールス電信は、モールス符号を用いた手送り送信と音響受信の能力を測ります。試験では、定められた速度で和文、欧文暗語、欧文普通語を送信・受信する能力が求められます。

速度と時間: 試験内容により速度が異なり、例えば、第一級総合無線通信士では、1分間に70字の和文、80字の欧文暗語、100字の欧文普通語を約3分間送信・受信する必要があります。
送信内容: 和文電報形式や欧文電報形式が用いられ、指定された形式に従って送信する必要があります。
使用機器: 基本的に試験場に備え付けの装置を使用しますが、受験者が持参した電鍵の使用が認められる場合もあります。

直接印刷電信

直接印刷電信は、テレタイプを用いた手送り送信の能力を評価します。試験では、指定された速度で欧文普通語を送信する能力が求められます。

速度と時間: 試験では、1分間に50字の速度で約5分間、欧文普通語を手送り送信します。
使用機器: 試験場に備え付けの装置を使用し、JIS X 6002に準拠したキーボード配列を使用します。また、入力内容の照合機能、誤入力時のエラー通知機能などが備わっています。

電話

電話は、通話表を用いた通信文の送受信の能力を測ります。試験では、指定された通話表に従い、欧文を正確に送話・受話する能力が求められます。

速度と時間: 試験では、1分間に50字の速度で、約2分間の送話と受話を行います。
通話表: 無線局運用規則別表第5号に定められた欧文通話表を使用します。

試験の実施

特殊無線技士の試験は、他の科目と合わせて1日で実施されますが、無線通信士の試験は筆記試験とは別の日に行われることが一般的です。ただし、航空無線通信士の場合は、筆記試験と同日に実施されることもあります。

受信・受話: 機器から流れる内容を聴取し、解答用紙に記入します。
送信・送話: 別室で待機した後、試験官の指示に従い、問題用紙に記載された内容を送信・送話します。

合格基準

電気通信術の合格基準は、試験の種類ごとに異なります。また、国家試験と養成課程修了試験では合格点が異なる場合があります。

採点方法: 各種目100点満点とし、減点法により採点されます。減点数が100点を超える場合は、得点は0点となります。
合格点: モールス電信では、総合無線通信士の場合、送受信それぞれ210点（3種目中30点未満がないこと）、陸上特殊無線技士の場合、送受信それぞれ70点が必要です。直接印刷電信では、問題文に従い200字以上を正しく入力する必要があります。電話では、送受信それぞれ80点以上が必要です。

免除制度

電気通信術の試験には、特定の条件を満たすことで免除される制度があります。

科目合格者: 電気通信術の試験に合格した人が、一定期間内に別の資格試験を受ける場合。
認定学校卒業者: 総務大臣の認定を受けた学校を卒業した人が、卒業後3年以内に国家試験を受ける場合。
有資格者: 規定された無線従事者の資格を有する人や、一定の業務経歴がある場合。

免除を希望する場合は、国家試験の受験申請時に根拠条項を示して申請する必要があります。

その他

電気通信術の試験制度は、過去に何度か変更されています。以前は和文電話の試験や、アマチュア無線技士向けのモールス電信試験も存在しましたが、現在は廃止されています。また、聴覚障害者への配慮として、モールス電信の試験で補助器具の使用が認められていた時期もありましたが、試験の廃止に伴いこの規定も廃止されました。

養成課程

電気通信術は、無線従事者養成課程においても重要な科目として扱われており、所定の授業時間が設けられています。

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