海上警察隊 (満洲国)

海上警察隊：満洲国の沿岸警備の歴史

海上警察隊（かいじょうけいさつたい）は、満洲国が設けた沿岸警備組織として、密入国や密輸、密漁の取締を主な任務です。この部隊は満洲国の警察制度の一部であり、日本海軍が大きく関与していました。海上警察隊は、陸軍色よりも海軍色が強く、特に太平洋戦争の中期には、日本海軍に代わって物資輸送船の警護を行う役割を果たしました。ここでは、海上警察隊の設立の背景や組織の歴史について詳しく見ていきます。

設立の背景

満洲国が成立する以前、奉天軍閥が運営する東北艦隊が存在しました。この艦隊は、合計で21隻の艦艇を保有していましたが、満洲事変の勃発によって形勢が変わり、東北艦隊は南京国民政府に逃れることになりました。その結果、渤海や黄海での海上警察機関は実質的に機能しなくなりました。

満洲国が設立された後、日本海軍の協力により、沿岸監視を担う警察組織が設立されました。この組織は、最初は「沿岸監視警察隊」として活動を開始しました。

海辺警察隊への改称と組織の整備

1932年、大同元年の特殊警察隊官制により、沿岸監視警察隊は「海辺警察隊」に改称されました。この時期、第一期充実計画が策定され、新しい船艇の建造や購入が進められ、営口市に本部を置くようになりました。海辺警察隊は、密漁や密輸の取締りを強化するため、警備力を高めていきました。

海上警察隊への改組

1937年、特殊警察隊官制が廃止され、海辺警察隊は新たに「海上警察隊」として再編成されました。この改組により、海上の治安維持と密輸や密漁の監視がさらに強化されました。1938年には水上警察が沿岸部の県に移管され、海上警察隊の組織が一新されました。

1943年の組織構成

1943年、海上警察隊の組織は以下のように構成されていました：

• - 警務科：警務股、保安股、教養股、人事股、特務股、経理股、営繕股
• - 船政科：船政股、機政股
• - 航空部隊：警備船部隊
• - 教習所：各種訓練機関
• - 無線電信所：コロ島、大東、荘河の無線電信所まで

このように、海上警察隊は多様な機能を持つ組織として構成されていました。

主力艦「海威」

海上警察隊の主力艦は「海威（ハイウェイ）」です。この艦船は排水量755トン、全長88.4メートルを誇り、最大速力は31.5ノットで、複数の兵装を搭載しています。海威は元々日本海軍の駆逐艦で、第一次世界大戦中には地中海で船団の護衛任務を遂行しました。満洲国に譲渡された後も、険しい戦闘環境を耐え抜く活躍をしましたが、最終的には沖縄での空襲により戦没しました。

結論

海上警察隊は満洲国において独特な存在感を持っており、日本海軍との深いつながりのもと、海上の治安を維持し続けました。その歴史は波乱に富んでおり、海洋警備の重要性を再認識させるものとして、今なお注目されています。

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