海外三十六国

海外三十六国の概要

海外三十六国とは、古代中国の書物『淮南子』に登場する36の異国を指します。これらの国々は、多くが伝説的な存在とされており、特異な人々の特徴を持っていることが特徴です。この概念は、他の古典文献である『山海経』や『三才図会』にも描かれており、できるだけ多くの異国を集約していることが確認できます。

異国の名前とその特徴

海外三十六国の名は、それぞれ独自の文化や外見を持った人々によって成り立っています。以下に代表的な国々の名前とその特徴を紹介します。

西北から西南方向

• - 修股（しゅうこ）: 非常に足が長い人々が住む国。
• - 天民（てんみん）: 四羽の鳥を使役する人々。
• - 粛慎（しゅくしん）: 雄常という木が生える土地。
• - 白民（はくみん）: 住人が極めて白く、寿命を延ばす霊獣・乗黄が棲むと言われる。
• - 沃民（ようみん）: 鳳凰の卵を常に食べている人々が暮らす国。
• - 女子（にょし）: 女性が支配する国で、「女人島」とも呼ばれる。
• - 丈夫（じょうふ）: 男性オンリーの国。
• - 奇股（きこ）: 腕が一本で目が三つある特異な人々。
• - 一臂（いっぴ）: 体が半分の人々が住む国。
• - 三身（さんしん）: 一つの頭に三つの体を持つ特異な存在。

西南から東南方向

• - 結胸（けっきょう）: 非常に突き出た胸を持つ人々。
• - 羽民（うみん）: 羽根を持つ人々。
• - 讙頭（かんとう）: 魚を捕る技術に優れた、羽のある人々。
• - 裸民（らみん）: 服を着ない人々がいる国。
• - 三苗（さんびょう）: 一緒に動くことが特徴の人々。
• - 交股（こうこ）: 脚が交差している姿勢。
• - 不死（ふし）: 死なない人々。
• - 穿胸（せんきょう）: 胸に丸い穴が開いている人々。
• - 反舌（はんぜつ）: 二つに分かれた舌を持つ人々。
• - 豕喙（しかい）: 豚のような口を持つ人々。

東南から東北方向

• - 大人（たいじん）: 非常に大きな人々。
• - 君子（くんし）: 争わず、二匹の虎を使用する人々。
• - 黒歯（こくし）: 歯が黒い住民。
• - 玄股（げんこ）: 二羽の鳥を使う人々。
• - 毛民（もうみん）: 長い毛に覆われた人々。
• - 労民（ろうみん）: 手足が黒い住民。

東北から西北方向

• - 跂踵（きしょう）: 足が非常に大きい人々。
• - 句嬰（こうえい）: 冠の紐を持つ人。
• - 深目（しんもく）: 一つの目が特徴の人々。
• - 無腸（むちょう）: 内臓を持たない人々。
• - 柔利（じゅうり）: 骨がない特異な人。
• - 一目（いちもく）: 一つの目を持つ人々。
• - 無継（むけい）: ふくらはぎがない存在。

脚注と参考文献

このような異国の描写は、古代の人々の想像力や文化的な影響を反映したものです。異国の特徴をテーマにした文献には、馬昌儀の『古本山海経図説』が有名です。この書籍は、中国の古典文献を多く借用しながら、実に独特な存在を表現しています。
また、関連する文献や伝説も多く、日本の文学作品として知られる『鏡花縁』などがあり、独自の解釈で伝説の国々を描写しています。このような古代の物語は、異国の人々や文化への理解を深める手助けにもなります。

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