海明寺裕

海明寺 裕 (かいめいじ ゆう)

日本の漫画家、海明寺裕は1958年4月16日、愛知県名古屋市に生まれた。多様なジャンルで活躍し、特にSF漫画や成人向け漫画の分野で知られている。

漫画家としての歩み

学生時代には、東京大学のサークルである「東大まんがくらぶ」に所属し、同人活動に励んだ。彼は東大生ではなかったものの、同サークルの機関誌制作に参加したほか、他のメンバーと共に同人誌を自主制作し、コミックマーケットなどで頒布していた。この時期には「その3」というペンネームも使用している。学漫系の同人作家として、当時の漫画ニューウェーブの一環を担い、その高い作品クオリティは注目される存在だった。

商業誌デビューは1980年。近代映画社から刊行された雑誌に掲載された「巨像の戦線」だが、この雑誌は短期間で休刊となり、作品も単行本化はされていない。その後、1982年には坂村健の著書『コンピュータとどう付き合うか』の挿絵を手がけるなど、イラストレーターとしての仕事も行った。1985年には、雑誌「ぱふ」において、掲載誌『月刊ウィングス』で発表した「エルマアの壁」がデビュー作として紹介されている。

1980年代後半になると、ゲーム雑誌『ファミコン必勝本』関連誌に連載された漫画版『ファイナルファンタジー』が特に知られる代表作の一つとなった。この作品は、権利上の問題から現在の電子書籍化などが難しい状況にある。1980年代から1990年代にかけては、主にSF系の漫画作品を多数発表したが、当時の出版界の状況から、掲載誌が早期に休刊になるなど、長期にわたる安定した連載には恵まれにくい時期だった。

成人向け漫画への転向と主力作家として

1995年、三和出版の『月刊フラミンゴ』に掲載された「eXpose」をきっかけに、海明寺裕は成人向け漫画へと活動の場を移した。この転向は、彼に安定した連載の機会をもたらし、単行本の刊行も継続的になった。『月刊フラミンゴ』、そしてその後継誌である『アイラ』といった成人向け漫画誌では、主力作家の一人として活躍。特にSM調教をテーマとした長編シリーズ「K9シリーズ」は人気を博し、2002年に同誌が休刊するまで連載が続いた。この時期には、「後宮学園」「bodyShop」「奴隷立國」など、多数の成人向け作品を発表している。

晩年と私生活

長年にわたり精力的に漫画制作を続けていたが、2013年5月、右脳の脳出血に見舞われ倒れた。手術によって一命は取り留め、数日後には意識も回復したものの、脳機能の一部に障害が残り、左半身に不随の症状が残る後遺症を負うことになった。

私生活では、同じく漫画家として活動する小杉あや（「ゆきあやの」名義でも知られる）と結婚していた時期があり、二人で共同でSNSを運用していたこともあるが、2020年に離婚している。

代表的な作品

海明寺裕が手掛けた主な作品には、以下のものが挙げられる。

一般向け作品

『ルナティック・ルナ』（1988年）
『ファイナルファンタジー』（漫画版、1989年）
『鋼鉄の処女』 - 『ガンダムジェネレーション』と『サイバーコミックス』に掲載された、一年戦争を舞台にした作品。
『亡國星』（1995年）

成人向け作品

「eXpose」（1995年）
「K9シリーズ」（長編）
「後宮学園」
「bodyShop」
「奴隷立國」
その他多数

学漫同人界で培った高い画力と構成力で、SFから成人向けまで幅広いジャンルを手掛け、特に成人向け分野では一時期、人気と実力を兼ね備えた主力作家の一人として存在感を示した。

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