坂村健

坂村 健（さかむら けん）

坂村健は、日本のコンピュータ科学の分野で著名な学者であり、コンピュータ・アーキテクチャの専門家でもあります。1951年7月25日生まれで、東京都出身です。彼は慶應義塾大学で工学博士号を取得し、1979年以降、東京大学で数十年にわたり教授として教育や研究に従事しました。その後、東洋大学情報連携学部の学部長も務めています。

学歴と職歴

坂村は1967年に慶應義塾中等部を卒業し、1970年に慶應義塾高等学校を卒業しました。1974年には慶應義塾大学工学部電気工学科を卒業し、1979年には同大学の大学院工学研究科で博士課程を修了しました。彼の博士論文のタイトルは「問題適応型可変構造計算機の研究」です。

その後、坂村は1979年に東京大学理学部情報科学科の助手に就任し、1986年には講師、1987年に助教授となります。そして1996年には東京大学総合研究博物館の教授に就任し、2000年には大学院情報学環・学際情報学府の教授に昇進しました。2017年には東京大学を退職し、その際名誉教授の称号を得ました。

TRONプロジェクト

坂村が特に知られているのは、1984年に始まったTRONプロジェクトです。このプロジェクトは「The Realtime Operating system Nucleus」の頭文字を取ったもので、リアルタイムオペレーティングシステムや新しいコンピュータ・アーキテクチャの設計に焦点を当てています。このプロジェクトにおいて坂村はリーダーとしての役割を果たし、さまざまな仕様を策定しました。また、このプロジェクトは映画『TRON』の影響を受け、その名称が付けられたとも言われています。

YRPユビキタス・ネットワーキング研究所

2002年には、坂村はYRPユビキタス・ネットワーキング研究所を設立しました。この研究所はユビキタス・コンピューティングに関する研究に取り組んでおり、坂村は所長として様々な試みを推進しています。この研究所では、アグリゲートコンピューティンググループやエッジノード研究グループなど、異なる領域に特化した研究グループが活動しています。

受賞歴

坂村はその業績により多くの賞を受賞しています。1987年には日刊工業新聞技術科学図書文化賞を受賞し、2001年には武田賞をリーナス・トーバルズやリチャード・ストールマンと共に獲得しました。さらに、2003年には紫綬褒章、2004年には大川賞、2005年には内閣総理大臣賞を受賞するなど、その功績が認められています。最新の受賞情報では、2023年にIEEE井深大コンシューマー・エレクトロニクス賞を受賞しました。

著作とメディア出演

坂村は多くの著書を執筆しており、情報技術の発展における日本の戦略についての洞察を提供しています。彼の著作は、コンピュータとの関わり方や、SFとコンピュータの未来像についても触れています。また、NHK教育の番組に出演し、コンピュータに関する教育活動にも積極的に関わっています。

坂村健の業績と研究は、コンピュータ科学の分野で広く認識され、今後の技術革新においても彼の影響は続くことでしょう。

もう一度検索