海軍気象学校

海軍気象学校

海軍気象学校は、大日本帝国海軍において、艦船と航空機の安全な航行を支援するために、気象観測、天体観測、海洋観測に関する専門知識と技術を教育する機関でした。

設立の背景

当初、これらの技術は海軍航海学校で教育されていましたが、太平洋戦争が激化するにつれて、占領地での敵前測量や気象観測の重要性が増大しました。特に、艦隊行動や航空機運用には正確な気象情報が不可欠であり、軍令部や海軍航空本部は海軍水路部に対して気象隊の編成を要請し、各地に技師と守備隊からなる気象隊を派遣しました。しかし、専門的な気象観測教育は依然として航海学校に依存しており、専門教育機関の設立が求められるようになりました。

学校の設立と展開

1944年7月1日、航海学校の分校として、茨城県稲敷郡阿見村に気象観測専門の教育機関が設立されました。この地域には航空基地が隣接しており、上空の気象データは航空機の安全運航に不可欠でした。戦況が悪化し、海洋・天文観測の必要性が減少する一方で、気象観測の重要性が増したため、1945年3月1日、分校は独立して「海軍気象学校」となりました。

気象学校は、他の術科学校と同様に、練習生を現場へ、学生を水路部や各地の司令部へ派遣する4つのコースを設定しました。しかし、戦局の悪化により、1945年7月15日までに繰り上げ卒業が決定し、卒業生は本土決戦要員として配属されることになりました。航空燃料の不足から気象観測の必要性も薄れ、気象学校はわずか4ヶ月で閉校となりました。

教育内容

海軍気象学校では、以下のような教育が行われました。

気象観測：気温、湿度、風向、風速、気圧などを測定する技術
天体観測：星の位置を測定し、位置や方位を特定する技術
海洋観測：海流、潮汐、水温などを測定する技術
気象予報：観測データを基に、今後の天候を予測する技術

これらの知識と技術は、艦船や航空機の航行の安全を確保するために不可欠なものでした。

学校長

関郁乎 少将：1945年3月1日（分校長より留任） - 1945年7月15日閉校

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。

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