海道力也

海道力也は、1961年12月25日に兵庫県尼崎市で生まれ、俳優として活動している。大阪商業高等学校を卒業しており、同窓にはオール巨人や松尾貴史といった著名人も名を連ねる。人生の後半を迎えてから、全く異なる世界である芸能界への挑戦を決意したという異色の経歴を持つ。最初のテレビ出演の機会はお蔵入りとなったものの、初めて受けたオーディションである井筒和幸監督の映画『黄金を抱いて翔べ』（2012年公開）で見事役を掴み、俳優としての第一歩を踏み出した。

白い顎鬚と堂々たる巨躯は、彼の俳優としての大きな特徴であり、この個性的な外見を活かし、特にヤクザの組長役などで数多くの作品に出演し、強烈な印象を残している。活動の拠点は関西に置きながら、映画、Vシネマ、ドラマといった映像分野を中心に精力的に活動している。

彼のフィルモグラフィーは特に映画作品が豊富で、2012年のデビュー以来、毎年多数の作品に出演し続けている。石原貴洋監督、阪元裕吾監督、金本真吾監督、うみのはるか監督、鬼村悠希監督など、関西を拠点とする個性的な監督たちの作品に常連として登場し、その世界観に深みを与えている。ジャンルもアクション、コメディ、ドラマ、ホラーなど多岐にわたり、組長役にとどまらず、刑事、彫師、パン屋の店主、教師、父親、果ては架空の生き物やキャラクターまで、実に幅広い役柄を演じ分けている。

国内外の映画祭で注目された作品への出演も多く、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、伊賀忍者映画祭、MOOSIC LAB、ドイツハンブルグ映画祭、カナザワ映画祭、沖縄国際映画祭など、様々な映画祭で上映されたり、賞を受賞した作品に名を連ねている。特に、主演を務めた作品も複数あり、『singleとと』（2016年、観客賞受賞）、『レッドカプセル』（2017年、ドイツハンブルグ映画祭招待作品）、『ベジタリアンオブザダッド』（2017年、観客賞受賞）、『日本は素晴らしい国』（2019年）、『アニマうバスターズ』（2019年、観客賞受賞）、『ドスえもん』（2020年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭入選）、『静寂』（2020年）、『鬼才監督』（2020年）、『美食モンスター』（2020年）、『巫女のうた〜神々のうた』（2021年）、『インディーズ映画の帝王』（2021年）、『赦し乞うもの』（2021年）、『極道系Vチューバー達磨』（2021年）、『虹、結』（2022年）、『アグリー』（2023年）などがある。また、『スナックカーマ』（2021年）では第一回シンシネマアカデミーでグランプリ受賞と主演男優賞をW受賞するなど、主演俳優としての評価も高まっている。

以下に、彼の多彩な出演歴の一部を示す。

映画『黄金を抱いて翔べ』（2012年） - 俳優デビュー作
映画『大阪蛇道』（2013年） - 大谷組組長役、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭招待作品
映画『時空脱獄NINJA ジライヤ』（2014年） - 真田組組長役、第一回伊賀忍者映画祭・審査員特別賞受賞
映画『兄弟』（2015年） - カンヌ映画祭マルシェドフィルム招待作品
映画『ぱん。』（2017年） - パン屋店主役、MOOSIC LAB 2017短編部門グランプリ受賞
映画『ファミリ☆ウォーズ』（2018年） - 父親役
映画『最強殺し屋伝説国岡』（2019年） - 殺し屋サイジョウ役
映画『ひとくず』（2019年） - 競艇場のおっさん役
映画『労働オブザ輪廻』（2019年） - 霊媒師役
映画『GIジョー漆黒のスネークアイズ』（2021年） - ヤクザ役
映画『黄龍の村』（2021年） - 国村洋司役
映画『大阪闇金』（2021年） - 北山組組長役
* 映画『大阪カジノ』（2023年） - 大谷組組長役

映像作品以外にも、ドラマスペシャル「灰色の虹」（朝日放送、2013年）、連続ドラマ「妻は、くノ一」（NHK BSプレミアム、2013年）、新春時代劇「ライジング若冲」（NHK、2021年）など、テレビドラマにも出演している。また、関西ローカルのバラエティ番組「ビーバップハイヒール」「マルコポロリ」「探偵!ナイトスクープ」などでは、その強面を活かした再現ドラマや仕掛け人としても登場し、お茶の間にも顔を知られている。舞台では、劇団公演や市民劇場などに出演。PVやCM、イベントにも参加するなど、活動の幅は広い。

人生の大きな転換期に俳優の道を志し、その個性を最大限に活かして独自のキャリアを築いてきた海道力也。白い顎鬚と巨漢という圧倒的な存在感で、特にインディーズ映画やVシネマ界隈で欠かせない俳優として確固たる地位を築いている。その独特なオーラは、演じる役に深みとリアリティを与え、観る者に強烈なインパクトを残す。今後のさらなる活躍が期待される俳優である。

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