消費者政策会議

消費者政策会議（しょうひしゃせいさくかいぎ）

消費者政策会議は、日本の内閣府に設置されている特別の機関です。この会議は、消費者の権利保護や利益増進を図るための基本的な枠組みである消費者基本法に基づき設けられています。その主要な役割は、国全体の消費者政策の方向性を示す「消費者基本計画」の案を作成すること、そして消費者政策全般に関する重要な事項を審議することにあります。

役割と機能

消費者政策会議は単に計画案を作成するだけでなく、策定された消費者政策の実施状況を推進し、その効果や進捗状況を検証、評価、監視することも重要な任務としています。これにより、国の消費者政策が実効性のあるものとなっているかを確認し、必要に応じて見直しを図るための基礎資料を提供します。

内閣府には、消費者政策に関連する他の機関も存在します。具体的には、専門的な立場から政策を調査審議する消費者委員会や、消費者行政を実務的に担う外局の消費者庁が設置されています。消費者政策会議が消費者基本計画の案を作成する際や、政策の検証・評価・監視結果を取りまとめる際には、内閣府消費者委員会からの意見を聴取することが法律で定められており、相互の連携が図られています。

組織構成

消費者政策会議の組織は、会長、委員、および幹事によって構成されています。会議の長である会長には、内閣総理大臣が就任することが常例となっています。委員は、消費者基本法に基づき定められており、内閣府特命担当大臣（消費者及び食品安全担当）が必ず委員となります。加えて、内閣官房長官、関係行政機関の長、およびそれ以外の特命担当大臣の中から、内閣総理大臣によって指定された者が委員に加わります。

ただし、慣例として、内閣官房長官や各省の大臣、国家公安委員会委員長、公正取引委員会委員長、その他の特命担当大臣など、事実上多くの国務大臣と公正取引委員会委員長が委員に任命される傾向にあります。このため、会議は広範な分野を網羅する多くの閣僚によって構成される性格を持っています。

幹事は、会長や委員の活動を補佐し、会議の事務を円滑に進める役割を担います。幹事は関係行政機関の職員の中から内閣総理大臣が任命しますが、これも慣例として、内閣官房副長官、各府省の事務次官級の職員（いわゆる事務次官等）、およびそれに準ずる役職者が任命されることが一般的です。これらの幹事により幹事会が組織されます。会議の日常的な庶務業務については、消費者庁の内部部署である消費者政策課が担当しています。

沿革

消費者政策会議は、従来の消費者保護に関する法律が改正され、新たに消費者基本法が2014年6月に施行されたことに伴い設置されました。それまで内閣府にあった消費者保護会議が廃止され、その機能を引き継ぐ形で新設されたものです。初代会長は当時の内閣総理大臣、小泉純一郎氏でした。設置当初の庶務は、内閣府の国民生活局が担っていました。

その後、消費者庁及び消費者委員会設置法などの関連法が施行される過程で、内閣府国民生活局が廃止され、消費者庁が新設されました。これに伴い、消費者政策会議の庶務業務は、内閣府国民生活局から新設された消費者庁の消費者政策課へと移管されました。また、鳩山由紀夫内閣において内閣府特命担当大臣（消費者及び食品安全担当）のポストが新設され、この大臣が消費者基本法に基づく委員となる位置づけが確立され、以降の内閣でも踏襲されています。それ以前は、内閣府特命担当大臣（消費者担当）がその役割を担っていました。

開催状況

近年の開催実績を見ると、消費者庁の公表情報によれば、2020年7月以降は開催されていません。また、過去18回の会議のうち、委員が実際に集まって開催されたのは6回にとどまります。その他の会議は、資料を持ち回って承認を得る「持ち回り」方式が取られていることが多いようです。直近の開催は第18回（2020年7月7日）などとなっています。

名称

英語での名称は「Consumer Policy Council」と表記されます。

この会議は、国の消費者政策の根幹に関わる重要な決定に関与する機関として位置づけられていますが、近年は開催頻度の低さも指摘されています。

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