涸沼

涸沼（ひぬま）について

概要

涸沼は、茨城県中部に広がる汽水湖で、鉾田市、東茨城郡茨城町、大洗町の間に位置します。この湖は那珂川水系に属し、流入する河川として涸沼川や大谷川があり、海と接続しています。潮の満ち引きに伴い、湖内の淡水と海水が交わり、独自の生態系が形成されています。

地理的特性

涸沼は東茨城台地や鹿島台地に囲まれており、流域面積は約439平方キロ[[メートル]]、湖面積は約9.30平方キロ[[メートル]]です。また、流域には約16万人が居住しており、湖は地形的にも遊水池として機能しています。那珂川が氾濫した際には、淡水が湖に流入し、他の水域と密接に関連しています。

利用状況

漁業

涸沼では漁業が盛んであり、特にシジミの生産が知られています。1999年のデータによれば全国第4位の生産量を誇ります。シジミ以外にも、マハゼなどの魚類も豊富で、直売所が点在する等、地域経済に寄与しています。

農業用水

湖は農業用水としても利用されており、周囲の農地を支える重要な水源となっています。

レジャー活動

北部には涸沼自然公園や各種のレクリエーション施設が整備されており、釣りやキャンプ、ウィンドサーフィンといった多彩なアクティビティが人気を集めています。

生物多様性

涸沼は豊かな生物相を有しており、398種の植物が確認されていますが、湿地の干拓や護岸工事の影響で、多くの水生植物が減少しています。特に、ミズアオイやミズワラビは絶滅の危機にさらされています。

鳥類

また、86種の鳥類が観察され、特にマガモやスズガモといった水鳥が生息しています。冬季にはオオワシやオジロワシなどの猛禽類の姿も見られることがあります。

魚類

魚類においては105種が確認されており、珍しい汽水湖であるため、淡水魚と回遊魚が共存しています。釣り愛好者からは、多種多様な釣魚のスポットとして称賛されています。

昆虫と貝類

涸沼では、国のレッドリストに挙げられるヒヌマイトトンボが確認されています。また、ヤマトシジミが産地として知られていますが、護岸工事等により年々漁獲量が減少しています。

河川

涸沼へ流入する河川には、涸沼川や若宮川、大谷川等があります。一方、流出する河川は主に涸沼川です。かつては寛政川も流入河川として存在しました。

歴史

縄文時代には海水面が上昇し、涸沼は入り江でしたが、那珂川の堤防によって塞がれ、湖が形成されました。江戸時代には運河の建設計画もありましたが、多くが未完に終わりました。1927年からは干拓事業が進み、現在に至るまで様々な利用がなされています。2015年には国際的に重要な湿地に指定され、ラムサール条約に登録されました。

水質

涸沼の水質は、過去10年間のデータによって観察されていますが、特に化学的酸素要求量（COD）の変化が注目されています。これは湖の水質改善への取り組みや環境保全の要となっています。

涸沼はその豊かな自然環境と独特の生態系から、地域にとって重要な存在であり、今後もその保護と利用方法が見直されるべき場所です。

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