涼炉

涼炉（りょうろ）とは

涼炉は、煎[[茶]]道において湯を沸かすために用いられる道具の一つです。「焜炉（こんろ）」「茶炉（ちゃろ）」「風炉（ふろ）」とも呼ばれます。元々は中国で、茶を野外で楽しむ際に使用されていた携帯用の湯沸かし器でした。

歴史

涼炉の起源は中国にあり、野外で火を起こすための携帯用湯沸かし器として考案されました。当初は使い捨てが前提で、手の込んだ装飾が施されることはほとんどありませんでした。しかし、江戸時代に煎[[茶]]法と共に日本に伝来すると、その素朴な風合いが文人たちに愛され、珍重されるようになりました。その後、中国でも装飾性の高い涼炉が作られるようになり、日本でも注文に応じて豪華な装飾が施されたものが作られるようになります。

現存する主な伝世品としては、以下のものがあります。

明時代: 「引動清風」「楊名合利」「翁梅亭」などがありますが、この時代のものは非常に希少です。
清時代: 二重風門、二重胴、人参手などの特徴を持つものが作られました。
江戸時代: 青木木米作の「風神炉」「煙霞幽賞」「子母炉」、仁阿弥道八作の「鬼面白泥涼炉」などが有名です。しかし、涼炉は火を使う道具であるため破損しやすく、良質な状態で残っているものは多くありません。

形状と構造

涼炉の基本的な構造は七輪と非常に似ています。正面には風を送り込むための穴である「風門」があり、上部には炭を入れる「火袋」があります。火袋の上にはボーフラ（湯を沸かすための容器）を置きます。

外観は、四角形や六角柱形など様々ですが、円筒形が特に好まれます。

涼炉の形式は、大きく分けて以下の2種類があります。

三峰炉: 上辺の爪と爪の間が低くなっているもの。
一文字炉: 上辺の爪と爪の間が一直線になっているもの。

涼炉は高温に耐える必要があるので、主に素焼きで作られています。近年では装飾性の高い磁器製の涼炉も作られていますが、火袋の部分は素焼きの別部品が用いられることが多いです。

近年の動向

近年では、炭を熾す手間や、公共施設での火気使用制限などから、火袋部分を電熱器に置き換えた涼炉が使われることも増えています。

参考文献

『煎[[茶]]の世界　しつらいと文化』（雄山閣、ISBN 4-639-01424-4)

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