深江文化村

深江文化村について

深江文化村（ふかえぶんかむら）は、兵庫県神戸市東灘区深江南町に位置する特徴的な地区です。この地域は、明治後期から昭和初期にかけての阪神間モダニズムの象徴とされています。当時、このエリアは裕福な人々が別荘を持つ場所として知られていました。特に、大正後期に、資産家や医師、そして建築家の吉村清太郎が協力し、芦屋川の西岸に西洋館街を築いたことが、後の深江文化村の基盤となりました。

この地区は約3000坪の敷地に広がり、中心には広大な芝生庭園が配置されています。この庭園を取り囲むようにして、13軒の西洋館が建てられ、その中には9カ国からの13組の家族が居住していました。そのため、深江文化村は多国籍な文化交流の場としても知られています。

特に、この地域にはロシア革命を逃れた著名な文化人たちが移住し、村とその周辺に新たな文化が芽生えました。一例として、ロシア人ピアニストであるアレクサンドル・ミハイロヴィチ・ルーチンや、指揮者のエマヌエル・メッテルらが深江文化村で活動を行い、音楽による国際交流が促進されました。また、文化村南西に建設された滞在型オーベルジュ「文化ハウス」は、これらの文化人たちが集う場となりました。

しかしながら、時とともに深江文化村は変遷を見せました。多くの西洋館は老朽化が進み、阪神淡路大震災の影響を受けて喪失してしまいました。2009年には、現存するのはわずかに2軒（いずれも登録有形文化財）になり、その中で当時の雰囲気を伝える数少ない建物となっています。

深江文化村の主な文化人たち

深江文化村に集まった文化人には、以下のような名士が含まれます。

• - アレクサンドル・ミハイロヴィチ・ルーチン - ロシア出身のピアニストで、大澤壽人らの師。
• - ミハエル・ウェクスラー - ヴァイオリニストであり、貴志康一の師。
• - レオ・シロタ - 著名なピアニスト。
• - ヨーゼフ・ラスカ - 日本初のオーケストラ、宝塚交響楽団の指揮者。
• - エマヌエル・メッテル - ロシア出身の指揮者で、朝比奈隆の師。
• - エレナ・オソフスカヤ・メッテル - 宝塚歌劇団で舞踏教授を務めた。
• - アレクサンドル・モギレフスキー - ヴァイオリニスト。
• - 諏訪根自子、貴志康一 - 共に著名なヴァイオリニスト。
• - 大澤壽人や山田耕筰はともに作曲家や指揮者で、音楽界での貢献が高く評価されています。
• - 小磯良平 - 洋画家としても名を馳せました。
• - 竹中郁 - 詩人として文学界でも活躍しました。
• - 近衛秀麿 - 作曲家及び指揮者として活動しました。

現存する施設

現在、深江文化村にはいくつかの歴史的な建物が残されています。主なものには、冨永家住宅と古澤家住宅があり、いずれも国の登録有形文化財として指定されています。また、エマヌエル・メッテルの旧居であるベーカー邸も含まれています。これらの施設は、当時の文化的な背景を物語る貴重な存在です。

所在地

深江文化村は、兵庫県神戸市東灘区深江南町1に位置しています。訪れることで、この歴史的な地区の魅力を体験できるでしょう。

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