清原邦一

清原邦一：激動の時代を駆け抜けた検察官

清原邦一（きよはら くにかず）は、1899年（明治32年）3月27日に生まれ、1967年（昭和42年）11月11日に亡くなった日本の検察官、弁護士です。最終階級は検事総長。

生い立ちと学歴

和歌山県那賀郡（現在の紀の川市）で、清原英三の長男として生を受けました。旧制和歌山県立粉河中学校、旧制第一高等学校を経て、1924年4月に東京帝国大学法学部法律学科（仏法）を卒業しました。学生時代から法律を深く学び、その後のキャリアの基礎を築きました。

検察官としてのキャリア

1923年12月に高等試験行政科試験に合格。翌1924年5月には裁判所書記兼司法属に任官し、東京地方裁判所書記兼大臣官房調査課に配属されました。同年12月には高等試験司法科試験にも合格し、1925年3月には司法官試補として大阪地方裁判所に赴任しました。1926年11月、検事に任官し、大阪地方裁判所予備検事となりました。

その後、神戸区裁判所検事、東京区裁判所検事、司法書記官・行刑局配属、調査部第一課長、刑事局第五課長、東京控訴院検事、司法省官房秘書課長、福岡地方裁判所検事正、司法省刑政局長、同行刑局長などの要職を歴任しました。これらの経験を通じて、清原は検察官としての専門性と手腕を磨き、組織内での信頼を確立しました。

戦後の転身と復帰

第二次世界大戦後、公職追放の対象となり、1946年7月に依願免本官、弁護士登録を行いました。しかし、1951年9月に追放が解除されると、1952年3月に法務府刑政長官として復帰を果たしました。その後、法務事務次官、最高検察庁次長検事を経て、1959年5月12日、検事総長に就任しました。

検事総長としての活躍

検事総長在任中、清原は1959年9月7日に砂川事件の上告審において、検事総長として異例の口頭弁論を行いました。また、六十年安保改定に伴う国内の治安維持に尽力し、嶋中事件、武州鉄道汚職事件などの重要な事件を指揮しました。これらの事件への対応は、当時の社会情勢を反映し、清原の強いリーダーシップと決断力を示しました。

退官後

1964年1月8日に検事総長を勇退し、退官しました。その後、1965年8月に日本プロ野球コミッショナー委員会委員に就任しましたが、在任中に死去しました。清原の死は、日本の法曹界にとって大きな損失となりました。

参考文献

秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。
* 渡邉文幸『検事総長』〈中公新書ラクレ331〉中央公論新社、2009年。

清原邦一は、激動の時代に検察官として、そして検事総長として、日本の司法と社会の安定に大きく貢献しました。その生涯は、法曹界の模範として、今日でも語り継がれています。

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