清水寺 (長野県山形村)

清水寺（きよみずでら）

概要

長野県東筑摩郡山形村の清水高原に位置する清水寺は、慈眼山を山号とする真言宗の寺院です。その創建は古く、奈良時代にまで遡ると言われています。現在、寺には常駐の僧侶はいませんが、保存会によって管理されており、朝晩には鐘の音が響き渡ります。

伝説によれば、行基が自ら千手観音像を彫り安置したのが始まりとされ、その後、坂上田村麻呂が有明山の鬼「魏石鬼八面大王」を討伐する際、戦勝祈願のために再興したと伝えられています。この戦で清水観音が大きな役割を果たしたとも言われ、その信仰の深さがうかがえます。

また、坂上田村麻呂が千手観音を京都に移したことが、京都東山の清水寺の起源になったという説もあります。現在の本尊である千手観音菩薩像は、左右の手を頭上に高く上げ、小さな如来像を捧戴する、京都の清水寺と同じ様式です。

山中高所の寺院

清水寺は、標高1200mという山中高所に位置しています。平安時代には、顕密系の寺院が山中に建立されることが一般的であり、そのような山寺は奈良時代末期から畿内に登場し、平安時代には地方にも広がっていきました。

多くの山寺は、その後、山中から山腹や山麓へと移されましたが、清水寺は山中にとどまった数少ない寺院の一つです。中信地方には、山中から移転したという伝承を持つ寺院が多く存在しますが、清水寺は創建当初の場所を守り続けています。なお、若沢寺は同じ鉢盛山から続く尾根筋にあり、山号が同じで、坂上田村麻呂による中興伝説を有する真言寺院という共通点を持っています。

アクセス

清水寺へは、長野県道25号塩尻鍋割穂高線（サラダ街道）の唐沢集落入口から道なりに進むと到着します。唐沢集落入口から約4kmの距離です。カーナビによっては、通行が困難な旧道に案内されることがあるため、注意が必要です。

唐沢集落は蕎麦の産地として知られ、扇状地の右端に位置しています。

周辺情報

清水寺周辺には、以下の施設があります。

スカイランドきよみず（宿泊入浴施設）
きよみずスカイライン

参考文献

『探訪 信州の古寺 天台宗・真言宗』1996年 郷土出版社

外部リンク

山形村 - 慈眼山 清水寺

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