清水廣一郎

清水廣一郎の生涯と業績

清水廣一郎（しみず こういちろう、1935年4月2日 - 1988年4月29日）は、日本の歴史学界において特にイタリアの歴史研究において顕著な貢献をした学者です。彼の専門領域は中世イタリアの社会経済史であり、彼の研究は当時の商人社会の理解を深め、学界におけるイタリア史の地位を高めるものでした。

学歴と経歴

清水は東京府で生まれ、東京外国語大学のイタリア語学科を卒業しました。その後、一橋大学に進学し、社会学研究科の博士課程を修了しました。彼は増田四郎のもとで学び、教員としての経歴をスタートさせました。最初は東京教育大学文学部で助手や助教授として勤務し、その後広島大学、さらに東京都立大学で教授職を歴任しました。彼の最終的な職位は一橋大学経済学部の教授でした。

主要な業績

清水は1982年に『中世イタリア商人の世界』という著作でサントリー学芸賞を受賞しました。この作品は、中世のイタリアにおける商人たちの生活と活動をジョヴァンニ・ヴィッラーニの著作『新年代記』を通して詳述したもので、商業活動が社会に与えた影響を深く掘り下げています。また、彼は在職中に多くの学術的な業績をあげ、1988年に亡くなる前まで、正五位に叙されるまでの功績を残しました。

著書一覧

彼の著作の中には、『イタリア中世都市国家研究』（1975年、岩波書店）、『中世イタリア商人の世界 ルネサンス前夜の年代記』（1982年、平凡社）、『中世イタリアの都市と商人』（1989年、洋泉社）などがあり、これらはイタリアの中世社会を理解する上で欠かせない文献です。

特に『中世イタリア商人の世界』は多くの研究者に引用され、彼の深い洞察が現代の研究においても影響を与えています。また、渡辺司、池上俊一らとの共著『概説イタリア史』（1988年、有斐閣選書）等も彼の研究の幅広さを示すものです。

翻訳作品

また清水は優れた翻訳者でもあり、ニコラ・オットカールの『中世の都市コムーネ』を翻訳しています。彼の翻訳は、イタリア史の理解を深める手助けとなっています

影響と評価

清水廣一郎の研究は、イタリアの中世社会について新しい視点と分析を提供しました。商人という視点から中世社会を再考することで、経済活動が文化や社会に与える影響を明らかにし、学生や研究者に多大な影響を与えました。彼の名は、今でも歴史学の分野で語り継がれています。

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