清水高師

清水 高師（しみず たかし、1953年1月13日 - ）は、神奈川県横須賀市出身の著名なヴァイオリニストであり、長年にわたり日本の音楽教育にも貢献してきた。

幼少期と国内での歩み

6歳でヴァイオリンの手ほどきを受け、徳永茂、鷲見三郎両氏に師事。早くからその才能を認められ、1963年、10歳で第17回全日本学生音楽コンクールにおいて第1位を獲得する。神奈川県立横須賀高等学校に進学後も研鑽を続け、1970年には第39回日本音楽コンクールで栄えある第1位に輝くとともに、レウカディア特別賞も受賞。国内最高峰のコンクールでの優勝は、将来を嘱望される若手ヴァイオリニストとしての地位を確固たるものにした。

欧米での研鑽と国際的な評価

高校卒業後の1971年、清水氏はさらなる高みを目指し海外へ渡る。南カリフォルニア大学に入学し、20世紀を代表するヴァイオリニストの一人であるヤッシャ・ハイフェッツに師事するという貴重な経験を得た。3年後にはフランス政府からの給費生としてパリへ招かれ、ミシェル・オークレールに師事。さらに1977年には、文化庁の派遣によりロンドンに滞在し、ギルドホール音楽演劇学校で学ぶ。特にイフラ・ニーマンには14年間にわたり室内楽を学び、その薫陶は長く続いた。

欧州滞在中、清水氏は数々の国際コンクールに挑戦し、顕著な成績を収める。

1975年：ロン＝ティボー国際コンクール（パリ）第3位
1978年：カール・フレッシュ国際ヴァイオリン・コンクール（ロンドン）第2位
1979年、1980年：エリザベート王妃国際音楽コンクール（ブリュッセル）第3位
グラナダ弦楽コンクール（スペイン）第1位

これらの受賞歴は、清水氏が国際舞台でも通用する確かな技術と芸術性を持つヴァイオリニストであることを証明した。

演奏活動と録音

帰国後、清水氏は活発な演奏活動を展開。国内外のオーケストラとの共演やリサイタルを重ねる傍ら、主要なヴァイオリン作品の録音も積極的に行った。

主な録音には以下のようなものがある。

ヴィエニアフスキ、サン＝サーンス：ヴァイオリン協奏曲集（ロンドン交響楽団、グレゴージュ・ノヴァーク指揮、1991年）
パガニーニ：24のカプリース（1991年）
ブラームス：ヴァイオリン協奏曲（ロンドン交響楽団、セルジュ・ボド指揮、1992年）
バッハ：無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ（1994年）
イザイ：無伴奏ヴァイオリン・ソナタ集（1996年）
プロコフィエフ：ヴァイオリン・ソナタ集（ピアノ：パーヴェル・ギリロフ、2006年）

これらの録音からは、幅広いレパートリーと表現力がうかがえる。

教育者としての貢献

1990年からは、演奏活動と並行して教育者としてのキャリアもスタートさせる。母校である東京藝術大学で教鞭を執り、後進の指導にあたった。その功績が認められ、2020年度からは東京藝術大学名誉教授の称号を授与されている。また、同時期より桐朋学園大学特任教授も務めるなど、日本のヴァイオリン教育における中心的な存在として活動。2013年4月からは東邦音楽大学でも教え始め、2024年3月現在も特任教授として多くの学生を指導し続けている。

清水高師氏は、国内外で輝かしい演奏経歴を積み重ねた経験と、音楽教育への深い情熱を兼ね備え、日本のクラシック音楽界、特にヴァイオリン分野の発展に多大な貢献を果たしている。

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