清野静男

清野静男八段：独特の棋風と詰将棋の巨匠

清野静男（せいのしずお）は、1922年8月14日生まれ、1977年8月28日没の将棋棋士です。新潟県出身で、木村義雄十四世名人門下、棋士番号47番。四段を経ないまま六段に昇段した経歴を持ちます。

華麗なる棋士人生

1936年、木村義雄十四世名人に入門。1949年、三段で順位戦C級2組に参戦し全勝という快挙を達成。翌年にはC級1組に昇級し、飛び級で六段に昇段しました。これは、プロ編入時に五段だった花村元司以来の異例のことです。

その後も活躍は続き、1959年には第9期王将戦二次予選で挑戦者決定リーグに進出。1965年には棋聖戦決勝トーナメントにも出場しました。1972年には創設されたばかりの早指し将棋選手権本戦にも進出、1974年には八段に昇段し、普及活動の功績が表彰されました。1977年には名将戦本戦出場を果たしますが、その年の8月、55歳という若さで胃がんのため他界しました。

多彩な棋風と終盤の妙手

清野の棋風は、相居飛車、対抗型、相振飛車と幅広く、オールラウンドプレイヤーとして知られています。特に、飛車先の歩を突いてから飛車を振る独特の振飛車戦法は、彼の持ち味の一つでした。

しかし、彼の真骨頂は終盤戦にありました。鋭い読みと計算に基づいた華麗な寄せは、多くの将棋ファンを魅了しました。詰将棋も得意とし、その精緻な作品は、高度な詰将棋愛好家からも高く評価されていました。戦後間もない頃は、清野の作品を真似た贋作が出回るほどの人気ぶりでした。

得意戦法としては、玉飛接近の元祖である右玉、端歩突き越しからの端攻め（一間飛車・九間飛車）、単純棒銀、角桂香飛を集中して美濃囲いを攻める岐阜戦法、飛車と金を交換する横歩取りの変化など、現代将棋にも通じる戦法を数多く駆使しました。また、縦歩取りやガッチャン銀といった型破りな序盤展開も話題になったと言われています。

棋士としての活動以外

清野は多くの将棋書籍を著しました。中でも詰将棋や終盤研究に関する書籍が多く、詰将棋創作の第一人者としても広く知られています。彼は自らも詰将棋を愛好し、師匠の木村義雄十四世名人から「詰将棋なんかいくらやっててもダメだ」と忠告されたにもかかわらず、創作活動を続けました。その作品数は数千点にも及び、その精緻さは高く評価されています。

趣味は音楽で、洋楽、邦楽問わず、自ら演奏や歌唱も楽しんでいたようです。若い頃は古賀政男と全国を巡業したり、アマチュアバンドを結成するなど、音楽への情熱も並々ならぬものがありました。「ダイナ、私の恋人」を十八番としていたというエピソードも残っています。

名古屋に中部将棋会館を建設する計画に熱心に取り組み、私財を提供しようとしていたことや、地方での普及活動の難しさを感じていたことなども知られています。晩年には「新潟に北陸将棋会館を作りたい」という夢を語っていたという記録も残っています。また、酒好きで知られ、金高清吉、間宮純一との三人で「三奇人」と呼ばれていました。

生涯最後の対局は、1977年6月28日の順位戦C級2組1回戦、伊藤果四段戦でした。体調不良のため電話で投了を伝達し、その後2回戦を不戦敗とした後、胃がんのため亡くなりました。

清野静男の功績

清野静男は、その独自の棋風、終盤の妙手、そして数々の詰将棋作品を通じて、日本の将棋界に大きな足跡を残しました。彼の残した著作は、現在でも多くの将棋愛好家に読み継がれ、その影響は現代将棋にまで及んでいます。彼の情熱と才能は、後世の棋士たちに多大な影響を与え続け、将棋史に燦然と輝く存在と言えるでしょう。彼の急逝は、日本の将棋界にとって大きな損失となりました。

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