清霜 (駆逐艦)

清霜(きよしも): 夕雲型駆逐艦の最期

大日本帝国海軍の駆逐艦「清霜」は、夕雲型駆逐艦の19番艦であり、同型の最終艦として建造されました。本稿では、その艦歴を建造から沈没まで詳細にたどり、太平洋戦争における「清霜」の役割と悲劇的な最期について考察します。

建造と初期の活動

「清霜」は1942年度計画（マル急計画）に基づき、仮称第347号艦として浦賀船渠で建造されました。1943年8月30日、「清霜」と命名され、同日に夕雲型の18番艦「秋霜」と共に命名されました。1944年3月4日、浦賀船渠に「清霜」艤装員事務所が設置され、宮崎勇少佐が艤装員長に任命されました。5月16日、竣工し、宮崎少佐は初代艦長に就任。「清霜」は横須賀鎮守府籍となり、第十一水雷戦隊に編入されました。水中聴音器の不良により横須賀で整備が行われた後、訓練を経て実戦部隊としての活動を本格化させました。

昭和19年前半の戦い

6月には小笠原諸島への輸送作戦「伊号作戦」に参加。その後、硫黄島への輸送任務にも従事しました。7月には沖縄方面への輸送作戦「ろ号作戦」に参加し、中城湾への輸送や南大東島への緊急輸送に従事しました。8月には呉を出撃し、パラオへの輸送作戦に従事しましたが、この作戦中、軽巡洋艦「名取」がアメリカ潜水艦の雷撃により撃沈され、「清霜」は捜索活動に参加しました。その後、パラオへの輸送任務を継続しました。8月15日、同型艦「早霜」「秋霜」と共に第二駆逐隊を編成され、第二水雷戦隊に編入されました。

レイテ沖海戦

9月5日、梶本顗少佐が艦長に就任。10月18日、捷一号作戦発動に伴い、第二艦隊と共にリンガ泊地を出撃。「清霜」は第二駆逐隊から分離され、第二部隊に編入、レイテ沖海戦に参加しました。

10月24日、シブヤン海で空襲を受け損傷した戦艦「武蔵」の救助活動に従事。自身も被弾し、航行能力が低下しましたが、「武蔵」の護衛を続けました。 「武蔵」沈没後、多くの生存者を救助しました。その後もマニラ湾での対空戦闘やタンカー船団の護衛任務に従事しました。11月には重巡洋艦「高雄」を護衛しシンガポールに到着、整備を実施しました。

沈没

12月24日、ミンドロ島への攻撃作戦「礼号作戦」に参加。「清霜」は12月26日、アメリカ軍機の空襲を受け、爆弾直撃により大火災が発生し、航行不能となりました。23時15分頃、大爆発を起こし、ミンドロ島沖で沈没しました。乗員は霞と朝霜によって救助され、生存者は約258名、戦死・行方不明者は約84名でした。 2月10日、「清霜」は帝国駆逐艦籍より除籍されました。

歴代艦長

艤装員長: 宮崎勇 少佐 (1944年3月5日 - 1944年5月16日)
駆逐艦長: 宮崎勇 少佐 (1944年5月16日 - 1944年9月5日)
* 駆逐艦長: 梶本顗 少佐/中佐 (1944年9月5日 - 1944年12月29日)

参考文献

(本文中に記載された参考文献リストをここに掲載)

まとめ

「清霜」は、太平洋戦争において様々な作戦に参加し、その短い艦歴の中で幾多の戦闘を経験しました。レイテ沖海戦での「武蔵」救助活動は特筆すべきことであり、多くの乗員の命を救いました。しかし、ミンドロ沖での沈没は、その活躍に終止符を打ちました。「清霜」の艦歴は、太平洋戦争の激しさと悲劇を象徴するものです。

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