渋川義正

渋川 義正 (しぶかわ よしまさ)

概要

渋川義正は戦国時代の日本において名を馳せた武将で、備後国の御調郡八幡村に位置する小童山城を本拠地としました。彼は足利一門に属する備後渋川氏の当主であり、父は渋川義陸です。義正は、名門として知られる渋川氏の嫡流に生まれ、戦国時代の厳しい状況の中で家名の存続に尽力しました。

家系と背景

渋川氏は足利氏の支流として位置付けられ、室町幕府の2代将軍である足利義詮の正室・渋川幸子の実家でもありました。このため、吉良氏や斯波氏と同様に足利氏一門の中でも特別な地位を持つ名門でした。渋川義正は、数多く存在する渋川氏の系統の中で、備後に拠点を持つ渋川義行の血筋であり、小童山城や勝山城を拠点にしていました。

しかし、義正の家門は常に強大な敵に囲まれていました。特に出雲国の尼子氏に侵攻されることが多く、義正自身は庶家である旧家臣の板倉氏や周辺の小早川氏などの支えを受けながら、家名を守るために苦労していました。

妻子と毛利氏との関係

義正の正室には毛利弘元の娘である八幡新造が迎えられました。彼女は毛利元就の異母妹に当たります。この結婚により、義正は中国地方一円で名を馳せることとなる毛利氏との親族関係を築きました。この関係によって、義正は毛利氏の後ろ盾を得ることができ、その家名の存続に繋がったのです。

八幡新造との間に生まれた嫡男・義満は、後に家業を引き継ぐこととなりました。また、義正は永禄4年（1561年）には、毛利元就の沼田新高山城を訪問する際に親族として随行した記録も残っています。このことからも、義正が毛利氏との関係を重視し、良好な連携を保っていたことが分かります。

生涯と死

義正の具体的な生年は不明ですが、彼の生涯は戦国の混乱の中であり、彼自身も常に家族の存続を危惧していたことでしょう。義正の没年も不明ですが、彼の息子である義満が後を継ぐことができたのは、義正が戦国時代において少しでも安定した基盤を築いたからと言えるでしょう。義正の生涯は、武将としての名声よりも、家名を守るための苦労に彩られたものでした。

参考文献

• - 防長新聞社山口支社編、三坂圭治監修『近世防長諸家系図綜覧』防長新聞社、1966年3月。

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