防長新聞

防長新聞（ぼうちょうしんぶん）

防長新聞は、かつて山口県で発行されていた地方新聞であり、以下の2つの期間に存在しました。

1. 防長新聞 (1884 - 1978)
2. 防長新聞 (1992 - 2006)

防長新聞 (1884 - 1978)

概要

1884年（明治17年）7月15日に山口市（当時は山口町）で「防長新聞合資会社」によって創刊されました。地域社会のニュースや情報を提供し、山口県の発展に貢献しました。

歴史

1942年（昭和17年）2月：新聞統廃合令により、防長新聞は「関門日日新聞」と合併し、山口県内の新聞が『関門日報』に統合され、『防長新聞』の名称は一時的に消滅しました。
1945年（昭和20年）5月1日：『関門日報』が『防長新聞』に改名する形で『防長新聞』の名称が復活しました。発行元は「防長新聞合名会社」となりました。
1978年（昭和53年）4月：廃刊。これにより、山口県全域で発行している県域紙は『山口新聞』（みなと山口合同新聞社）のみとなりました。

防長新聞 (1992 - 2006)

概要

株式会社防長新聞社が岩国市を中心とする山口県東部で発行していた新聞です。日本新聞協会・全国郷土紙連合に加盟していました。ブランケット判8 - 12ページ建ての日刊紙（朝刊・月曜休刊）で、末期の公称部数は16,600部でした。

歴史

1964年（昭和39年）2月1日：笹川徳光（のち岩国商工会議所会頭）の個人新聞『岩国日日新聞』として創刊。
1965年（昭和40年）：株式会社に転換し『時事日本』に改題。
1986年（昭和61年）11月21日：『防長新報』に改題。
1992年（平成4年）12月6日：上記の『防長新聞』を買い取り再改題し、商号も変更。
2006年（平成18年）12月19日：売上高の低迷や金利負担などによる資金繰りの悪化により、同日付の朝刊に休刊の社告を掲載して全従業員を解雇。山口地方裁判所岩国支部に自己破産を申請して倒産し、事実上廃刊しました。負債は6億6000万円でした。

廃刊の経緯

休刊表明当日に行った記者会見で社長の笹川徳光は、岩国商工会議所会頭の社長自身が推進した「米軍岩国基地への米空母艦載機移転容認」に従った社の編集方針への反対派市民の反発が経営難の原因だと説明しました。しかし、広島県警察と山口県警察は翌2007年（平成19年）1月、防長新聞社が振り出した手形の割引を広島市の金融業者に迫った恐喝未遂の疑いで、同社の経営陣に加わっていた岩国市内の暴力団組長を逮捕しました。裁判では、組長の恐喝未遂罪については無罪となりましたが、笹川社長は休刊表明直前の12月17日に組長が金融業者に2000万円の手形割引を求めた場に自身も帯同していたことを認め、地元の暴力団が同社の手形を乱発し経営を圧迫していた実態が明らかになりました。

廃刊後

倒産にともない同社を解雇された編集長の藤井淳史ら元従業員6人は翌2007年、地元紙の復刊をめざして新会社の株式会社日刊いわくにを設立。同年4月3日にタブロイド判の朝刊紙『日刊いわくに』が創刊されました。

フリーペーパー

防長新聞社（サンデー事業部）は地域別に新聞折り込みのタブロイド判週刊フリーペーパー『サンデーネット』を発行していました。本紙とともに廃刊となりました。

サンデー岩国（配布地域・岩国市）
サンデー防府（配布地域・防府市）
サンデー柳井（配布地域・柳井市）
サンデー周南（配布地域・周南市）
サンデー光（配布地域・光市）
サンデー北浦（配布地域・萩市、長門市）

これらの配布エリアでは防長新聞廃刊後、『Cue［キュー］ 山口版』、『タイファミリー岩国』、『SPOT山陰』の各フリーペーパーが創刊されました。

防長新聞廃刊時点で県内ではほかに『サンデーしものせき』（現『SUNDAY下関』）、『サンデーうべ』、『サンデー山口』の各フリーペーパーが存在しましたが、これらは防長新聞社とは関係ありません。

参考文献

参考文献の情報を追記

関連項目

末光鉄之助（関門日日新聞、合併後の関門日報の社長を歴任）
* 豊田行二（防長新聞の記者として在籍）

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