渋沢正雄

渋沢正雄：実業家としての生涯と多才な人物像

渋沢正雄は、1888年（明治21年）11月1日に、子爵・渋沢栄一の三男として誕生しました。1942年（昭和17年）9月10日にその生涯を閉じるまで、日本の実業界において重要な役割を果たしました。彼の人生は、実業家としての成功だけでなく、多岐にわたる趣味や教養にも彩られていました。

生い立ちと教育

渋沢正雄は、名門・渋沢家の三男として生まれ、兄に篤二と武之助、弟に秀雄がいます。また、渋沢敬三、渋沢信雄、渋沢智雄の叔父にあたり、渋沢雅英と渋沢裕の大叔父という、一族の中でも重要な位置を占めていました。1906年には東京高等師範学校附属中学校（現在の筑波大学附属中学校・高等学校）を卒業し、第一高等学校を経て、1915年に東京帝国大学法科大学経済学科を卒業しました。大学卒業と同時に分家しています。

実業家としての活動

大学卒業後、渋沢正雄は第一銀行に入行しますが、1917年に退職します。その後、渋沢貿易、富士製鋼、汽車製造、石川島造船所、石川島自動車、石川島飛行機、秩父鉄道、富士鋼材商会、日本鋼製建具、日本煉瓦製造、日本鋼管など、数々の企業の重役を歴任しました。しかし、1932年末にはこれらの役職を全て辞任し、製鉄業に専念することを決意します。1934年には、製鉄合同とともに日本製鐵の常務取締役に就任し、八幡製鐵所長も兼務しました。この経歴からも、彼が日本の産業発展に大きく貢献したことがわかります。

多彩な趣味と人間性

渋沢正雄は、仕事だけでなく、趣味も非常に多彩でした。スポーツを愛し、柔道、水泳、乗馬などを楽しんだだけでなく、囲碁や洋楽にも造詣が深かったようです。また、宗教は仏教を信仰していました。住所は東京市豊島区西巣鴨町、後に同市外滝野川町西ヶ原に移っています。これらの情報から、彼の人間性の一端を垣間見ることができます。

家族と親族

渋沢正雄の家族構成もまた、彼の人生を理解する上で重要です。父は実業家で子爵の渋沢栄一、母は伊藤八兵衛の長女かねです。兄には渋澤倉庫取締役会長を務めた篤二、弟には秀雄がいます。妻は男爵・池田勝吉の二女である鄰子で、彼女との間に三女一男をもうけています。長男の正一はアジア経済研究所理事を務めました。長女の博子は伯爵壬生基泰と結婚しましたが、28歳という若さで亡くなりました。次女の純子はエッセイストとして活動しました。

親族には、子爵で政治家の渋沢敬三、渋沢信雄、渋沢智雄などがいます。また、第一銀行頭取の明石照男、富士製紙社長の大川平三郎、資生堂社長の福原信三、法学者の穂積重遠、子爵の阪谷芳郎、男爵の鮫島具重、伯爵の壬生基泰など、各界で活躍した人物が名を連ねています。

まとめ

渋沢正雄は、日本の近代化に貢献した実業家であり、同時に多才な趣味を持つ魅力的な人物でした。彼の生涯は、単なるビジネスマンの成功物語にとどまらず、豊かな人間性と幅広い教養を兼ね備えた人物像を示しています。彼の功績は、今日の日本社会においても重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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