反

反（たん）の単位：土地、布、長さの3つの意味

「反（たん）」は、尺貫法で使用される面積や長さの単位で、複数の意味を持っています。この記事では、土地の面積、布の大きさ、そして長さの単位としての「反」について、その定義、歴史、現代における換算などを詳しく解説します。

1. 土地の面積単位としての「反」

土地の面積を表す「反」は、基本単位である歩（坪）の倍量単位で、現在は10畝（300歩）と定義されています。10反で1町になります。1891年のメートル条約加入後、度量衡法により1尺＝10/33メートルと定められたことから、1反は991.736平方メートルと換算されます。これは10アールに非常に近いため、日本の面積のメートル法への移行はスムーズに進みました。

古代においては、1反は米1石（大人1人1年分の消費量に相当）の収穫が得られる田の面積とされていました。そのため、土地の条件によって面積は異なりましたが、同じ反数であれば収穫量もほぼ同じでした。当初は360歩とされていましたが、太閤検地により300歩に改められ、現在に至っています。300歩への変更は、年貢増収のためという説と、米の生産効率向上によるものという説があります。

なお、圃場1反あたりの農産物収穫量を「反収（たんしゅう）」と呼び、現代でも10アールあたりの米の収穫量をこの言葉で表現しています。

2. 布の大きさの単位としての「反」

布の大きさの単位としての「反」（「端」とも表記）は、おおむね一着分の布の幅と長さです。「反物（たんもの）」という言葉はここから来ています。

この「反」は、古代中国の長さ単位である「端」に由来します。「端」は2丈（20尺）とされていましたが、周代以降は見られなくなりました。主に布帛の計量に用いられ、日本に伝来して「反」と表記されるようになったと考えられています。

「反」の大きさは、時代や布の材質によって異なりました。古代の絹布では、幅9寸5分～1尺、長さ2丈8尺～3丈が1反とされ、綿布では幅9寸5分、長さ2丈8尺が1反でした（いずれも鯨尺）。その後、着物用は幅9寸5分、長さ3丈以上、羽織用の綿布は幅9寸5分、長さ2丈4尺以上、その他は幅9寸5分、長さ2丈以上が標準となりました。

3. 長さの単位としての「反」

土地や布の単位以外に、6間の長さを表す「反」も存在します。これは、建築や測量などの分野で使用されていた可能性があります。しかし、この用法はあまり一般的ではありませんでした。

まとめ

「反」は、土地、布、長さといった複数の意味を持つ、歴史ある単位です。それぞれの用法において、その定義や大きさは時代や地域、材質によって異なっていました。現代ではメートル法が主流となっていますが、特に土地の面積に関しては、10アールというメートル法単位との近さからスムーズな移行が行われました。また、「反収」という言葉は、現代においても農作物の収穫量を表す際に用いられるなど、その歴史的背景と関わりながら現代社会にも受け継がれています。

もう一度検索