減災

減災とは

減災とは、災害時に発生する可能性のある被害を、可能な限り小さくするための活動のことです。従来の「防災」は、災害による被害を未然に防ぐことを重視していましたが、大規模な災害が発生した場合、その被害を完全に防ぐことは不可能に近いという現実が明らかになりました。

そこで生まれたのが「減災」という考え方です。減災では、災害が発生することを前提として、被害を最小限に抑えるための対策を講じることが重要になります。つまり、発生しうる全ての被害を食い止めようとするのではなく、被害の程度が大きいと想定される箇所に重点的に資源を投入し、結果として被害全体を最小化するという考え方です。

減災の理念

減災の理念は、いかなる対策を講じても被害は発生するという認識のもと、限られた資源を効果的に活用し、人命に関わる最悪の事態を避けることを最優先にすることです。そのためには、災害発生後の対応だけでなく、災害発生前の平常時から、いかに被害を減らすための対策を講じるかが重要となります。

また、減災は行政だけでなく、地域住民の協力が不可欠です。災害時に最も被害を受けるのは、地域に住む人々自身であるため、行政と市民が協働して地域の防災力を向上させることが重要となります。

減災の歴史

減災という概念は、河田恵昭氏によって早くから提唱されており、「縮災」という言葉も用いられています。東日本大震災をきっかけに、その重要性が広く認識され、政府の災害対策や啓発活動にも正式に用いられるようになりました。また、「名古屋大学減災連携研究センター／減災館」など、減災を名称に含む機関や施設も設立されています。

減災に対応する英語

英語では、防災は「disaster prevention」や「disaster management」と訳され、減災は「disaster mitigation」「disaster reduction」「disaster risk reduction (DRR)」といった言葉が用いられます。

「disaster risk reduction (DRR)」は、災害そのものを軽減するのではなく、災害によって生じるリスクを軽減するという意味で使われることが多くなっています。また、被害軽減という意味で「damage reduction」という言葉も使われます。

減災対策の例

減災対策には、以下のようなものがあります。

避難訓練
防災訓練
ハザードマップの作成
タイムライン（防災計画）の作成
インシデント・コマンド・システムの導入
耐震、制震構造の導入
感震ブレーカーの設置
エキスパンションジョイントの設置
津波警報システムの整備
防風林の設置

減災に関連する用語

防災
災害
事前復興
災害弱者
協働
防災まちづくり
民間防衛
リスクコミュニケーション
国際防災デー
災害対策組織
自主防災組織
自衛消防組織
自衛防災組織
日本自然災害学会
自然災害（台風、地震、津波、森林火災など）
災害記念碑
起震車
長周期地震動
緊急地震速報

外部リンク

大都市大震災軽減化特別プロジェクト - 文部科学省
減災のてびき - 内閣府
災害被害を軽減する国民運動 - 内閣府


減災は、災害による被害を最小限に抑えるための重要な取り組みです。行政と市民が協力し、地域防災力を高めることで、より安全で安心な社会を築くことができます。

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