渡し込み

渡し込み

渡し込み（わたしこみ）とは、相撲における日本相撲協会制定の決まり手八十二手の一つ、掛け手に分類される技です。相手力士の片方の脚を外側から片腕で抱え込み、もう一方の手で相手を押し倒して勝負を決める技を指します。古くは「足（あし）」とも呼ばれていました。

大相撲における実例

渡し込みは、幕内の取組においては比較的珍しい決まり手として知られています。しかし、過去には特定の力士が得意技として、この技で勝利を重ねた例も見られます。

その代表例が、最高位が大関であった琴奨菊です。琴奨菊は幕内において9回、渡し込みで勝利を収めています。具体的な取組としては、以下のようなものが挙げられます。

2011年11月場所千秋楽: 関脇 稀勢の里戦
2014年5月場所6日目: 平幕 遠藤戦
2015年9月場所4日目: 小結 隠岐の海戦
2018年1月場所: 小結 貴景勝戦

琴奨菊の渡し込みの特徴として、前に出る際に自身の足がついていかず、倒れ込みながら相手の脚を抱える形が多いことが挙げられます。

琴奨菊の他にも、渡し込みで勝利した力士は存在します。

2009年11月場所9日目: 翔天狼が春日王に勝利
2015年7月場所3日目: 嘉風が臥牙丸に勝利
2015年11月場所初日: 嘉風が鶴竜に勝利
2022年1月場所13日目: 宝富士が明生に勝利
2024年7月場所千秋楽: 若隆景が北勝富士に勝利

これらの取組からも、渡し込みが決して珍しいだけの技ではなく、時に勝負を決める有効な手段となり得る事がわかります。

大渡し

大渡し（おおわたし）は、渡し込みの派生形とも言える技です。通常の渡し込みに加えて、突きつける腕がより効果的に作用し、相手を浴びせるような形になるものを指します。

ただし、大渡しは日本相撲協会が定める決まり手八十二手には含まれていません。

公式な決まり手として制定される以前には、以下のような取組が「大渡し」として記録されています。

昭和3年10月場所3日目: 開月 - 瀬戸山
昭和11年5月場所2日目: 金湊 - 射水川
昭和12年1月場所4日目: 九州山 - 楯甲
昭和26年1月場所7日目: 若葉山 - 廣瀬川

これらの記録は、大渡しという技が古くから存在し、一定の認知度があったことを示唆しています。

関連項目

大相撲の決まり手一覧

外部リンク

* 渡し込み - 決まり手八十二手 - 日本相撲協会公式ホームページ

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