渡橋 (木曽川)

渡橋（わたりばし）

渡橋は、愛知県一宮市光明寺と岐阜県各務原市川島渡町の間を流れる木曽川の南派川に架けられたトラス橋です。この橋は愛知県道150号および岐阜県道115号一宮川島線の一部を構成しており、地域の交通網において重要な役割を果たしています。特に、周辺観光スポットであるツインアーチ138と河川環境楽園を結ぶ主要なアクセスルートの一つとなっています。

概要

現在の渡橋は、車道橋と後から建設された歩行者・自転車専用の側道橋の二つから成り立っています。

車道橋

現在の車道橋は、1964年（昭和39年）11月16日に供用が開始されました。全長は約258メートル、幅員は約6メートルです。幅員が比較的狭いため、橋を構成するトラス構造物に高さのある荷物を積んだ車両などが接触する危険性を考慮し、通行車両には高さ3.5メートルという制限が設けられています。

歩行者・自転車専用橋（渡橋側道橋）

交通量の増加や安全性の確保を目的として、2006年（平成18年）3月に別途供用が開始されたのが、渡橋側道橋です。こちらは歩行者と自転車専用となっており、全長は約270.3メートル、幅員は約3メートルが確保されています。これにより、車道橋の交通渋滞緩和と歩行者・自転車の安全な通行が可能となりました。

歴史

渡橋が架けられる以前、この場所には木曽川を渡るための渡船が存在していました。しかし、大雨による木曽川の増水時には運航ができなくなることもあり、渡船の利用者は不便を強いられていました。現在でも、かつて渡船場があったことを示す石碑が各務原市川島渡町に建立されています。

橋の建設は、1937年（昭和12年）に木造の仮橋が完成したことから始まります。その後、1943年（昭和18年）10月には正式な木造橋である「わたり橋」が完成しました。この木造橋は、昭和20年代には美空ひばり主演の映画のロケ地としても使用されるなど、地域に親しまれていました。しかし、木曽川の洪水は容赦なく、この橋は度重なる洪水によって損傷を受け、一部が流出する被害に遭いました。その都度、地域の人々の努力によって復旧作業が行われていました。

特に大きな被害となったのは、1959年（昭和34年）の伊勢湾台風です。この巨大な台風によって、当時のわたり橋は完全に流失してしまいました。橋を失った地域では、新たな橋の建設が急務となりました。流出から間もない1960年（昭和35年）には、仮設として木製の土橋（全長118.0メートル、幅3.60メートル）が建設されましたが、この橋も翌1961年（昭和36年）6月には再び洪水により一部が流出してしまう事態となりました。

このような状況を受け、恒久的な橋の必要性が改めて認識され、新たな橋の建設計画が進められました。そして、堅牢なトラス構造を持つ現在の渡橋が建設され、1964年（昭和39年）11月16日に待望の供用開始となりました。

現在の渡橋は、岐阜県各務原市川島地区と愛知県一宮市を結ぶ主要な幹線道路の一部として機能しましたが、時代の変化と共に交通量は増大しました。1996年（平成8年）8月8日に開通した平成川島橋や、河川環境楽園の開園などにより周辺へのアクセスが増加したこともあり、幅員の狭い渡橋での交通事故の増加が懸念されるようになりました。このため、安全性の向上と交通需要への対応として、2006年（平成18年）に歩行者・自転車専用の側道橋が整備されたのです。

また、渡橋はかつて、地域の夏の風物詩としても親しまれていました。1992年（平成4年）から2006年（平成18年）にかけて毎年8月第4土曜日に開催されていた一宮市民花火大会では、渡橋が自動車通行止めとなり、多くの人々にとって絶好の花火見物スポットの一つとなっていました。

渡橋は、渡船から始まり、度重なる困難を乗り越え、現在の姿に至りました。地域の発展と安全な交通を支える橋として、今も重要な役割を担い続けています。

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