草木ダム

草木ダムの概要

草木ダム（くさきダム）は、群馬県みどり市東町座間に位置する一級河川・利根川水系の渡良瀬川に建設された重要な多目的ダムです。かつては神戸ダムと呼ばれていましたが、地域住民の要望により名前が改称されました。このダムは独立行政法人水資源機構によって管理されており、東京都など首都圏への水供給と渡良瀬川・利根川の治水を主な目的としています。総じて、広範な水資源管理が求められる地域において非常に重要な役割を果たしています。

構造と設計

草木ダムは高さ140.0メートルの重力式コンクリートダムであり、利根川水系での高さは奈良俣ダムに次いで高い部類に入ります。ダムによって形成された人造湖は草木湖（くさきこ）と名付けられ、この湖は2005年にダム湖百選に選ばれるなど、非常に美しい景観を保っています。湖の上流にはキャンプ場も整備されており、訪れる人々に自然を楽しむ機会を提供しています。

沿革と水害対策の歴史

渡良瀬川流域は、古くから穀倉地帯として知られてきましたが、江戸時代には河川の氾濫が頻発し、地域住民に甚大な被害をもたらしていました。特に、足尾銅山から流出する鉱毒によって農地への影響が深刻化し、治水対策が急務となっていました。1905年には渡良瀬遊水地が建設され、これにより洪水調節と鉱毒防止を図りましたが、効果は限られていました。

1949年に経済安定本部が策定した利根川改訂改修計画を受け、草木ダムを含む九つの多目的ダムが計画されました。この計画は、1947年のカスリーン台風による洪水被害後に再評価され、ダムの設計と建設が進められました。最終的に、1977年には草木ダムが完成し、その運用が開始されました。

目的と機能

草木ダムの主な目的は、洪水調整、不特定利水、かんがい、上水道・工業用水道への供給、水力発電の五つです。このダムは、特に洪水の流量を削減するための貯水能力が高く、完成以降、効果的に洪水調節が行われています。また、農業用水の供給や上水道への水供給も高い水準を維持しており、地域農業の発展に寄与しています。

草木湖と周辺の魅力

草木湖は、その総貯水容量約6千万トンを誇る人造湖で、観光やレクリエーションの場としても人気があります。湖では夏に花火大会が開催され、観光客に楽しんでもらえます。周辺には、みどり市立富弘美術館があり、地元の画家である星野富弘の作品が展示されています。また、足尾銅山跡も近く、観光スポットとして訪れる人々に人気です。そのため、草木ダムは水資源だけでなく観光資源としても重要な存在です。

アクセスと周辺観光地

草木ダムへのアクセスは多岐にわたり、東北自動車道や北関東自動車道を利用することで容易に訪れることができます。公共交通機関でも、東武鉄道やJRからわたらせ渓谷鉄道への乗り換えが可能で、神戸駅からは徒歩やバスでの移動が便利です。

周辺の観光名所には、日光へのルートや高津戸峡、藪塚温泉などがあり、四季折々の自然を楽しむことができます。また、みどり市では「花桃祭り」が行われるなど、地域振興にも力を入れています。自然と歴史、文化が融合した草木ダムは、訪れる人々に様々な体験を提供しています。

もう一度検索