渡辺千明

渡辺千明：映画・テレビドラマ界を彩った脚本家、劇作家、演出家

渡辺千明（わたなべ ちあき、1950年4月19日 - 2021年3月31日）は、日本の脚本家、劇作家、演出家として、映画やテレビドラマの世界で数々の作品を世に送り出しました。本名は山内 千明（やまのうち ちあき）。野田高梧記念蓼科シナリオ研究所の理事も務めました。

生い立ちと経歴

兵庫県出身の渡辺は、国文学者の父を持ち、2人の兄はそれぞれ弁護士と公務員という家庭に育ちました。都立立川高校を卒業後、1976年に横浜放送映画専門学院（現・日本映画大学）に進学。1978年に同校を卒業後、講師であった田村孟、馬場当、富田義朗の助手を経て、テレビドラマや映画の制作に携わりました。

1979年には、田村との共作で映画『十八歳、海へ』で脚本家としてデビュー。その後、数多くの映画やテレビドラマの脚本を担当しました。1981年からはフリー助監督としても活動し、主に工藤栄一監督の作品に携わりました。

1989年には日本映画学校の専任講師に就任。2000年には日本シナリオ作家協会の理事に選ばれ、2002年からは駒澤大学文学部の非常勤講師も務めました。2011年、日本映画学校の大学化に反対し同校を退職しています。

2016年には、長野県蓼科に『野田高梧記念蓼科シナリオ研究所』を設立し、理事に就任。2017年からは同研究所のホームページ上で宮本明子と協働で『野田高梧の手帳』の連載を開始。2019年には、富士ゼロックス京都と協働で『蓼科日記』全巻完全複製を開始し、2020年9月に完成させました。

2021年3月31日、癌性心膜炎のため長野県茅野市内の病院で死去。70歳でした。

主な作品

映画

『十八歳、海へ』（1979年）
『無力の王』（1981年）
『名門!多古西応援団』（1987年）
『難波金融伝・ミナミの帝王 劇場版PARTV』（1995年）
『かまち』（2004年）
『ジャイブ 海風に吹かれて』（2008年）

テレビドラマ

『木曜ゴールデンドラマ・女の哀しみが聞こえる』（1982年、読売テレビ）
『私鉄沿線97分署』（1984年、テレビ朝日）
『ニュードキュメンタリードラマ昭和 松本清張事件にせまる』第24回「連合赤軍の崩壊」（1984年、テレビ朝日・東映）
『スケバン刑事』（1985年、フジテレビ）
『中村敦夫の地球発22時・40年目の突撃』（1985年、毎日放送）
『木曜ドラマストリート・あいつと私』（1986年、フジテレビ）
『あまえないでョ!』（1987年、フジテレビ）
『乱歩賞作家サスペンス・罠の中の七面鳥』（1988年、関西テレビ）

演劇

作『庄内ママコのテッテ的な日々』（1980年）
作・演出『笑劇 玉虫マリヤ』（1982年）
* 作・演出『贋作蘆花傳（がんさくろかでん）』（2014年）

エピソード

渡辺は、自身を「遅筆」であると語り、テレビの制作スピードの速さに苦労していたことを明かしています。

数々の映画、テレビドラマ、演劇の脚本を手掛け、後進の育成にも尽力した渡辺千明。その作品は、これからも多くの人々に感動と影響を与え続けることでしょう。

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