渡辺実 (映画監督)

渡辺 実

人物・来歴

渡辺実（渡邊實）は1919年10月5日、京都府京都市右京区に生まれました。父親は映画館を経営しており、早くから映画に親しむ環境に育ちました。彼は1935年に旧制立命館大学予科を中途で退学し、1940年には日活多摩川撮影所に助監督として入社します。この撮影所は現在、角川大映撮影所として知られています。

第二次世界大戦が勃発すると、1942年には日活の製作部門が新興キネマと大都映画と合併し、大日本映画製作（現在の大映）に勤務することになりました。戦後は大映京都撮影所でチーフ助監督として活躍し、伊藤大輔などの監督の下で多くの作品に関与しました。

果てしない努力の末、1956年には監督に昇進し、翌年に公開された勝新太郎主演の『信号は赤だ』で正式な監督デビューを果たします。その後の3年間で6本の映画を監督しましたが、1959年には再び伊藤大輔の助監督を務めることになり、監督業から一時的に離れることになります。

1965年には映画現場を離れ、写真課長に就任し、1970年には総務部の厚生係長に異動します。しかし、1971年12月に大映は倒産し、設立された新会社の大映映画に引き続き勤務。最終的には1975年に同社を退社しました。

フィルモグラフィ

渡辺実が関与した映画作品は多数に上りますが、特に特筆すべきは以下の作品です。

助監督としての活動

彼は多くの映画で助監督を務めました。以下にその一部を挙げます。

• - 『七つの顔』（監督：松田定次、1946年）
• - 『われ幻の魚見たり』（監督：伊藤大輔、1950年）
• - 『おぼろ駕籠』（監督：伊藤大輔、1951年）
• - 『大江戸五人男』（監督：伊藤大輔、1951年）
• - 『治郎吉格子』（監督：伊藤大輔、1952年）
• - 『獅子の座』（監督：伊藤大輔、1953年）
• - 『春琴物語』（監督：伊藤大輔、1954年）
• - 『逢いぞめ笠』（監督：加戸敏、1956年）
• - 『霧の音』（監督：清水宏、1956年）

監督としての活動

監督としては、次のような作品を手がけました。

• - 『信号は赤だ』（1957年、主演：勝新太郎）
• - 『清水港喧嘩旅』（1957年、主演：勝新太郎）
• - 『月姫系図』（1958年、主演：市川雷蔵）
• - 『流れ星十字打ち』（1958年、主演：林成年）
• - 『赤胴鈴之助 黒雲谷の雷人』（1958年、主演：桃山太郎）
• - 『鬼女系図』（1959年、主演：黒川弥太郎）

彼の業績は日本映画界において重要な一翼を担い、特に助監督としての経験が後の監督活動に大きく寄与したと言えるでしょう。渡辺実の映画人生は、映画制作の多様な側面を知り尽くしたものとして、多くの後輩たちに影響を与えています。

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