獅子の座

『獅子の座』は、1953年に公開された伊藤大輔監督による日本の時代劇映画です。この作品は、能楽師の家に生まれた俳人、松本たかしが自身の経験を基に執筆した伝記小説『初神鳴』を原作としています。物語の中心となるのは、若き日の十六世宝生九郎（後の宝生九郎知栄）であり、彼の幼少期から能楽師としての成長、そして葛藤が描かれています。

映画では、主人公の宝生石之助（後の十六世宝生九郎）を子役時代の加藤雅彦（後の津川雅彦）が演じ、その幼いながらも卓越した演技力が注目されました。また、十七世宝生九郎と長男の宝生英雄が能楽指導を担当し、映画全体に本格的な能楽の要素が取り入れられています。これにより、視覚的にも聴覚的にも、能の魅力を存分に感じることができます。

監督は伊藤大輔が務め、企画は亀田耕司、脚本は伊藤大輔と田中澄江が共同で担当しました。撮影は石本秀雄、音楽は団伊玖磨、美術は伊藤憙朔が担当し、それぞれの分野で一流のスタッフが集結しました。風俗考証には甲斐荘楠音が携わり、時代考証の正確さを高めています。

出演者には、長谷川一夫が宝生彌五郎役、田中絹代がその妻久役を演じたほか、堀雄二、岸惠子、大矢市次郎、伊志井寛、東山千栄子、浦辺粂子など、当時の名優たちが名を連ねています。また、荒木忍が将軍家慶役、尾上栄五郎が松太郎役を演じるなど、脇役にも実力派俳優が多数出演しています。

この映画は、能楽の世界を舞台に、主人公の成長と人間ドラマを描いた作品であり、能楽の魅力を広く伝えるとともに、当時の日本の社会や文化を感じさせる作品として、今もなお多くの映画ファンに愛されています。

参考文献として、allcinema、KINENOTE、国立映画アーカイブなどの信頼できる情報源が挙げられており、映画に関する詳細な情報を確認することができます。また、関連情報として、宝生九郎知栄の項目や、外部リンクには映画の視聴サイトも含まれており、より深く作品を理解するための手助けとなります。

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