渡辺渡 (冶金学者)

渡辺渡（わたなべ わたる）

生涯

渡辺渡は、安政4年（1857年）に長崎県で生まれ、大正8年（1919年）に亡くなった日本の冶金学者です。大学南校を経て、1879年（明治12年）に東京大学理学部を卒業後、東京大学校の助教授に就任しました。

1882年（明治15年）から1885年（明治18年）にかけて、冶金鉱山学の研究のためドイツに留学し、フライベルク鉱山大学で学びました。この留学経験が、彼の後の研究活動に大きな影響を与えました。

帰国後の1886年（明治19年）には、東京帝国大学工科大学の教授に就任し、農商務省技師も兼任して佐渡鉱山局に勤務しました。さらに、宮内省で御料鉱山設置の構想が進むと、御料局技師、理事、そして佐渡支庁長にも任命されました。1891年（明治24年）には工学博士の学位を取得しています。

1896年（明治29年）に御料鉱山構想が中止となったため、一旦退官しましたが、翌年には再び工科大学教授に任命され、農商務省鉱山局長も兼務しました。1899年（明治32年）には局長を辞任し、欧米へ出張しています。1902年（明治35年）からは工科大学長を務めました。彼の墓は染井霊園にあります。

業績と人物

渡辺渡は、明治期の日本の鉱山学の発展に大きく貢献した人物です。ドイツ留学で得た最先端の知識を基に、日本の鉱山技術の向上に尽力しました。また、東京帝国大学の教授として多くの学生を指導し、日本の鉱山学を担う人材育成にも力を注ぎました。彼の教育者としての側面も、特筆すべき点です。

親族

渡辺渡の家族構成は以下の通りです。

父: 渡辺真（東京府平民）
妻: すみ（建築家福田東吾の妹）
長女: つな（横堀治三郎の妻）
二女: 禄（加茂正雄の妻）
長男: 渡辺仁（建築家、菊池武夫の娘婿）
三女: 義乃（古宇田實の妻）
二男: 礼（法学士）
四女: 智聰子
五女: 信夫（医師堀江恭一の妻。堀江家は中野郷の名主。義母は石坂泰三の姉。兄弟に堀江重賢）
三男: 渡辺誠（商工省鉱山局技師）

特に、五女の信夫は、医師の堀江恭一と結婚し、その縁戚関係を通じて、当時の社会情勢や家族の繋がりを垣間見ることができます。

参考文献

「東京帝国大学工科大学教授渡辺渡叙勲ノ件」 アジア歴史資料センター Ref.A10112853200

外部リンク

デジタル版 日本人名大辞典+Plus『渡辺渡』 - コトバンク
* 「渡辺渡」横断検索 - ジャパンサーチ(BETA)

渡辺渡は、日本の近代鉱山学の発展に貢献しただけでなく、教育者としても多くの人材を育成した、重要な人物と言えるでしょう。

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