渡辺融 (官僚)

渡辺融について

渡辺融（わたなべ ゆずる）は、1844年（天保15年）に肥後国（現在の熊本県）で生まれ、1924年（大正13年）に80歳で亡くなった日本の官僚です。彼は、明治維新後の激動期において、裁判官、検察官、そして県知事として、日本の近代化に貢献しました。

生い立ちと初期の経歴

渡辺融は、熊本藩士である渡辺藤太の長男として生まれました。その後、祖父である渡辺才右衛門の跡を継ぎました。明治5年（1872年）には熊本県の一等出仕となり、官僚としてのキャリアをスタートさせました。その後、白川県少属、熊本県権中属を経て、判事へと転身し、熊本区裁判所長、中津区裁判所長を歴任しました。さらに検事に転じ、高知、岐阜、名古屋の各地方裁判所検事を務め、1890年には安濃津地方裁判所検事正に就任しました。その後も名古屋、横浜の各地方裁判所検事正を歴任し、法曹界でのキャリアを積み重ねました。

農商務省から県知事へ

1897年（明治30年）12月、渡辺融は農商務省山林局長に就任し、行政官としての新たな一歩を踏み出しました。しかし、1898年（明治31年）7月5日に依願免本官となり、一時官界を離れました。その後、1900年（明治33年）1月には高知県知事に任命され、地方行政の長としてその手腕を発揮しました。高知県知事時代には、無理な土木事業を避け、中学校の増設など教育機関の拡充に力を入れました。1903年（明治36年）6月には山口県知事に転任し、1912年（明治45年）6月まで務めました。

晩年と栄典

1912年（明治45年）6月、知事を辞職し退官した渡辺融は、同年7月12日に錦鶏間祗候を仰せ付けられ、長年の功績が称えられました。


渡辺融は、その生涯を通じて、裁判官、検察官、行政官として、日本の近代化に大きく貢献しました。彼の功績は、後世に語り継がれるべきものです。

栄典

1897年（明治30年）12月28日：正五位
1910年（明治43年）3月22日：従三位

勲章等

1889年（明治22年）11月29日：大日本帝国憲法発布記念章
1906年（明治39年）4月1日：明治三十七八年従軍記章

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
人事興信所編『人事興信録』第3版、1911年。
内閣「従三位渡辺融特ニ錦鶏間祗候被仰付様宮内大臣ヘ照会ノ件」大正元年。国立公文書館 請求番号：本館-2A-019-00・任Ｂ00648100

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