渡辺誠毅

渡辺誠毅について

渡辺誠毅（旧字体：渡邉誠毅、読み：わたなべせいき）は、1914年12月12日に東京・千駄ヶ谷に生まれ、2007年2月11日に肺炎で92歳で亡くなった日本のジャーナリストであり、元朝日新聞社社長です。彼の長いキャリアは、報道業界と社会に多大な影響を及ぼしました。

経歴

渡辺は、父・毅雄と母・冨の長男として育ちます。山口高等学校から進学し、1936年に東京帝国大学農学部農業経済学科を卒業。入社後、最初は札幌支局に配属され、翌年には東京本社経済部員として活動を開始しました。

しかし、彼のジャーナリズムの道のりは平坦ではありませんでした。1942年には、北海道帝国大学での活動が影響し、治安維持法違反で札幌刑務所に入獄され、その結果、朝日新聞社を退社することになります。敗戦による釈放後、1946年に再び朝日新聞社に戻りました。

政治経済部での業務を経て、1947年には新聞単一労組の朝日支部委員長に就任しますが、結核の影響で辞任。1951年に復職した後も、調査研究室の調査員などとして経済部員との兼務を続け、1974年には副社長としての地位に就きます。

1977年には社長に就任し、その後1984年には新聞が誤報を報じたことが問題となり、12月に社長を退任しますが、相談役として組織に影響を与え続けました。彼はまた、1982年から1984年まで日本新聞協会の会長も務めています。さらに、1988年から1998年まで信越放送の取締役を歴任し、1993年から1997年には横綱審議委員会の委員長を務めました。

健康と影響

健康上の理由から、外勤記者としての経験は比較的少なかったものの、渡辺は原子力平和利用の促進を強く主張し、ジャーナリズムにおける重要な問題を取り上げ続けました。また、前社長・広岡知男との関係が冷え込んでいた村山社主家との関係改善にも努力し、訪問や葬儀の委員長を務めるなど、個人的な繋がりを重視しました。

社内における中ソ対立の中で、彼は親ソ連派として広岡会長と対立し、1980年には広岡を失脚させる役割を果たしました。また、ソ連のコスイギン首相や中国の鄧小平副首相との会見を通じて、国際的なコミュニケーションにも積極的でした。

著書と翻訳

渡辺は著述家でもあり、原子力や国際平和に関する書籍を出版しました。彼の著作には、『原子兵器と国際平和』や『原子力記事のみかた』があり、また翻訳にも力を入れています。

最後の年

渡辺誠毅は、2007年にその生涯を終えました。彼の影響は、朝日新聞社に限らず、日本のメディア界全体に色濃く残っています。彼の業績は、報道の枠を超えて、ジャーナリズムの本質や社会への貢献を問い続けるものとなりました。

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