渡辺金六

渡辺金六の生涯とその功績

渡辺金六（渡邉金六）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武士であり、著名な藤堂高虎の家臣として知られています。実名は宗吉または宗（はじめ）で、金六という通称で広く呼ばれ、伊勢津藩の重臣の1人でもあります。そして、彼の家系は藤堂家と深い関わりを持ち、藤堂内膳家の初代にあたることも特徴です。弟には島川専助や渡辺内膳がいますが、渡辺金六は藤堂家臣の渡辺了とは血縁関係にありません。

生い立ち

金六は大和国に生まれ、父は島川専助でした。後に渡辺家に養子に入り、弟の内膳は前の家系である島川家を継いでいきました。島川家は渡辺綱の母方の姓であり、彼自身もその子孫にあたります。こうした家系の中で、金六は藤堂家の一員となりました。

軍人としての活動

金六は天正10年頃から藤堂高虎に仕官し、数々の戦いでその手腕を発揮しました。特に山崎の戦いに参陣し、次の賤ヶ岳の戦いでは、高虎が戦場で槍傷を負った際に、その傷を見て泣き止むように諫言したことで知られています。ここで彼は指揮官としての腕前も示し、武功を挙げました。

高虎が丸岡城を落とした際、その奮闘が称賛され、金六も彼の戦功により4,600石の所領を得ました。また、小牧・長久手の戦い、さらには峯城や松ヶ島城攻めにも出兵し、多くの戦闘で戦傷を負った高虎を支えるなど、頼もしい存在であり続けました。この時、高虎が「俺の傷はいくらになったのか」と尋ねたという逸話も残っていますが、金六は「命がいくらあっても足りない」と辣腕を見せ、手当を行いました。

征伐と貢献

天正13年の紀州征伐では、金六は粉河の戦いで功績を残し、その後500石の加増も受けました。また、四国征伐、九州征伐、小田原征伐、文禄の役など、さまざまな戦闘に参加し、その戦歴を積み重ねました。しかし、文禄4年に高虎の主君である豊臣秀保が死去すると、彼は出家して高野山に上り、戦局が変化しました。

高虎は後に豊臣秀吉や生駒親正に説得され、再び5万石で復帰します。この際、金六は主君の帰還を喜びましたが、残念ながらその後の慶長の役では南原城で戦死してしまいました。高虎は金六や他の朝鮮での死者を切に思い悼みました。

家系と子孫

金六には子がいなかったため、家督は弟の内膳が継ぐことになりました。彼の子孫も「渡辺金六」または「内膳」と称し、津藩の重臣として幕末に至るまで続きました。このように金六は戦国の動乱の中で、その忠義と武勇をもって藤堂家を支えた重要な人物として歴史に名を刻んでいます。

彼の事績は、武士としての倫理や忠義、さらには譜代の武士としての重要性を語る上で欠かせない存在となっています。

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