渡部正郎

渡部正郎について

渡部正郎（わたなべ まさろう、1919年6月17日 - 1997年4月14日）は、日本の内務官僚として名を馳せ、政治の世界でも活躍した衆議院議員である。山形県米沢市出身で、東京帝国大学法学部を1945年に卒業後、内務省に入省し、官僚としてのキャリアをスタートさせた。

官僚としての経歴

内務省に入った渡部は、警察大学校で教授として教壇に立ったほか、在イタリア大使館にて一等書記官としても務めた。さらに、警察庁交通局長や群馬県及び愛知県の警察本部長としての要職を歴任。その後、1974年に内閣広報室長に就任し、田中内閣、三木内閣、福田内閣においては内閣調査室長を務めることとなった。

特に内閣調査室長時代には、『週刊文春』での連載「日本共産党の金脈」に見られるように、日本共産党のイメージダウンを図るために、メディアを通じた世論工作に関与したと言われている。そのため、彼の活躍は日本の政治においても重要な役割を果たしたと評価されている。

政治家としての道

1977年に官僚を退官後、1979年に行われた第35回衆議院議員総選挙には、無所属（民社党推薦）として山形県第1区から立候補し当選を果たした。この選挙において、同じく無所属の田中角栄や橋本登美三郎と共に「四十日抗争」として知られる自民党内の激しい抗争の中で、大平正芳に支持票を投じた。このような政治活動を経て、1980年には自民党に入党し、田中派に名を連ねることとなる。

しかし、同年の第36回衆議院議員総選挙では自民党公認候補として山形1区から再び立候補するも、残念ながら落選を経験する。その後、司法修習を経て弁護士資格を取得。1984年には notorious なロッキード事件に関連して、田中角栄の弁護を手がけ、自己の特許事務所を開設した。

業績と著作

渡部は政治家としてだけでなく、著述家としても活動を行っている。代表的な著書には、1965年に出版された『若いイタリア その希望と苦悩』や、1980年の『官界・深層からの証言』などがある。これらの作品を通じて、彼は自身の経験を基に多くの貴重な視点を提供している。

晩年と死

渡部正郎は1997年4月14日、東京都文京区の病院にて心不全のために79歳で亡くなった。彼の死は、日本政治史における重要な一時代を象徴する出来事であり、彼の業績は後の世においても語り継がれている。彼は生前、1989年には勲三等旭日中綬章を受章するなど、国家に対する貢献が高く評価されていた。

渡部正郎の生涯は、日本の政治および官僚システムにおける重要な一要素を成すものであり、彼の行動や思想は、現代日本においても影響を与え続けるだろう。

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