渥美電鉄デハ100形電車

渥美電鉄デハ100形電車の詳細

渥美電鉄デハ100形電車は、1923年に日本車輌製造によって製造された木造の二軸単車です。この電車は、渥美電鉄の開業に際して新たに導入されたものであり、設計は当時の技術を反映した小型車両として定員は46人でした。

物理的特徴

デハ100形は、木造の車体を持ち、集電装置は最初にトロリーポールが採用されていましたが、1950年代に入るとパンタグラフに変更されました。この変更は、電車の利便性や運行効率を向上させることを目的としたものです。また、ブレーキシステムは手ブレーキが使用されており、車両が豊橋鉄道に移籍した後もそのまま残されていました。この時期、デハ100形は貨車の入れ替え専用に使用され、本線での運行は行われなかったため、手動のブレーキシステムが採用され続けました。

歴史的背景

渥美電鉄は、1923年に開業を迎え、その際にデハ100形が導入されました。この車両は、長年にわたり主に三河田原駅と黒川原駅間で運用されていましたが、時が経つにつれて乗客数の増加に対応できなくなりました。1940年には、渥美電鉄が名古屋鉄道と合併し渥美線が誕生しますが、これはデハ100形にとって転機となります。

1941年、形式の改訂が行われ、デハ100形はモ1形に改称されました。その後1943年には、戦時中の輸送需要に応えるため、電動貨車に改造されることになり、形式もデワ30形に変更されました。この改造後は、柳生橋駅構内での貨車の入れ替え作業に従事することとなりました。

1954年には、渥美線が名古屋鉄道から豊橋鉄道に譲渡されると、デワ30形も豊橋鉄道に移籍。この時期、花田貨物駅などでの入れ替え作業に活躍していました。しかし、1966年には2両（31、32）が廃車となり、残った1両（33）は1973年にデワ10形に改番されました。1984年には貨物取り扱いが廃止されたものの、引き続き車両区での入れ替え作業に使用されました。

デハ100形は、その木造の特性故に経年劣化が激しく、改修工事を重ねながら大切に使用されました。その独特な外観から人気を集め、地域住民に愛され続けました。しかし、1997年には渥美線の架線電圧が1500Vに昇圧されたことにより、ついに廃車となってしまいました。

保存と現在

1998年、デハ100形は田原市に寄贈され、芦ヶ池農業公園で静態保存されています。ここでは、同時に保存されているデキ210形211とともに、多くの来園者にその歴史と存在を伝え続けています。

このように、渥美電鉄デハ100形電車は、その設計と運用、さらに多くの歴史的背景を持つ愛される車両でした。その存在が鉄道ファンや地域の人々にとって、大切な記憶として語り継がれています。

もう一度検索