温州 (浙江省)

温州の歴史：唐代から清代までの変遷

浙江省温州市周辺地域に存在した温州は、中国の歴史において重要な役割を果たした行政区分です。その歴史は唐代にまで遡り、幾度もの改編を経て清代に廃止されるまで、複雑な変遷を遂げました。本稿では、温州の設立から廃止までの歴史を、年代順に詳細に解説します。

唐代の温州

温州の起源は、622年（唐の武徳5年）に設置された東嘉州にまで遡ります。現在の浙江省温州市にあたる永嘉郡永嘉県の地に置かれ、永嘉、永寧、安固、横陽、楽成の5県を管轄下に置きました。しかし、わずか5年後の627年（貞観元年）に東嘉州は廃止され、括州に編入されます。その後、675年（上元2年）、括州から永嘉県と安固県が分離され、温州が改めて設置されました。

742年（天宝元年）には永嘉郡と改称されましたが、758年（乾元元年）には再び温州と名称を戻しました。この頃の温州は江南東道に属し、永嘉、安固、横陽、楽成の4県を管轄していました。

宋・元・明・清代の温州

1117年（北宋の政和7年）、温州には応道軍節度が置かれ、軍事的な重要性も増しました。その後、1265年（南宋の咸淳元年）には瑞安府と改称され、管轄区域も変更されました。瑞安府は両浙路に属し、永嘉、平陽、瑞安、楽清の4県を管轄下に置いていました。

元朝が成立した1276年（至元13年）には、瑞安府は温州路と改称され、江浙等処行中書省に属しました。この時点での管轄区域は、録事司、永嘉県、楽清県、瑞安州、平陽州と、県と州が混在する複雑な構成となっていました。

明朝が建国した1368年（洪武元年）には、温州路は温州府と改称され、浙江省に属するようになりました。管轄区域も変更され、永嘉、瑞安、楽清、平陽、泰順の5県を管轄するようになりました。

清朝においても温州府は浙江省に属し続け、永嘉、瑞安、楽清、平陽、泰順の5県に加え、玉環庁を管轄下に置いていました。

温州府の廃止

1913年、中華民国により温州府は廃止されました。これにより、長きに渡る温州の歴史に終止符が打たれたのです。唐代からの長い歴史の中で、温州は何度も名称や管轄区域を変更しながら、浙江省南部における重要な行政単位として存在し続けました。その変遷の歴史は、中国古代の歴史を理解する上で重要な手がかりとなります。

まとめ

本稿では、温州の歴史を唐代から清代まで年代順に追跡し、その変遷を詳細に解説しました。温州の歴史は、中国の地方行政制度の変化や、政治情勢の変動を反映したものであり、中国歴史研究において重要な意味を持つと言えるでしょう。今後の研究では、温州の経済史や社会史についても深く掘り下げる必要があるでしょう。

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