湖のランスロ

映画『湖のランスロ』について

ロベール・ブレッソン監督による1974年の映画『湖のランスロ』（原題: Lancelot du Lac）は、中世の騎士道物語であるアーサー王伝説を題材にした作品です。この映画は、クレティアン・ド・トロワの著作を基にしつつ、ブレッソン監督独自の解釈が加えられています。1974年のカンヌ国際映画祭では国際映画批評家連盟賞を受賞し、その後フランスで公開されました。

概要

本作は、ド・トロワの『ランスロまたは荷車の騎士』や『散文ランスロ』などの文献を基に、聖杯探求伝説の後日譚として描かれています。ブレッソン監督の特徴である抑制の効いた演出が際立ち、特に音響へのこだわりが印象的です。馬の嘶き、蹄鉄の音、甲冑の金属音などが効果的に使用され、映画に独特の緊張感とリアリティを与えています。

ブレッソン監督は、アーサー王伝説から超自然的な要素を排除し、ランスロとグニエーブル妃の不倫、そして円卓の騎士モルドレッドの嫉妬と裏切りを中心に物語を再構築しました。これにより、人間の感情や欲望に焦点を当てた、より人間ドラマとしての深みが加わっています。

『スリ』に出演した女優マリカ・グリーンによれば、ブレッソン監督は1950年代から本作の構想を温めていたといいます。当初はカラーフィルムの品質問題から撮影を断念していましたが、長年の構想を経て、映画製作者ジャン＝ピエール・ラッサムらの協力により、ようやく実現しました。しかし、興行的には成功とは言えませんでした。

日本での公開

日本では長らく未公開でしたが、1999年に東京国際映画祭で限定的に上映されました。その後、劇場公開の計画が何度か持ち上がったものの、実現には至りませんでした。しかし、2022年3月11日、『たぶん悪魔が』とともにデジタルリマスター版として劇場公開されました。これにより、多くの日本の観客が本作を鑑賞する機会を得ることができました。

ビデオグラム

ビデオグラムとしては、2008年に紀伊國屋書店から発売された「ロベール・ブレッソン DVD-BOX」に収録されています。このDVD-BOXには、『たぶん悪魔が』『ジャンヌ・ダルク裁判』も含まれています。

作品データ

• - カラー作品（イーストマン・カラー）
• - 上映サイズ: 1:1.66（ヨーロッパヴィスタ）

関連作品

• - 『キャメロット』（1967年、監督：ジョシュア・ローガン）
• - 『モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル』（1975年、監督：テリー・ギリアム、テリー・ジョーンズ）
• - 『聖杯伝説』（1978年、監督：エリック・ロメール）
• - 『エクスカリバー』（1981年、監督：ジョン・ブアマン）
• - 『トゥルーナイト』（1995年、監督：ジェリー・ザッカー）
• - 『キング・アーサー』（2004年、監督：アントワーン・フークア）

外部リンク

• - 湖のランスロ - allcinema
• - 湖のランスロ - KINENOTE
• - Lancelot du Lac - IMDb

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